舞台版『憲法くん』に画期的なところがあるとしたら、劇中、マルクスと憲法が対話する仕掛けだろう。
日米安保条約、砂川闘争を背景に、この二人の会話が続くのだが、この、最初に見たら誰でもびっくりするはずのテクストを、迷いなく疑いなく実現していく俳優陣のいるカンパニーであることを、誇りに思う。
マルクスが憲法にこだわっていたことは史実である。そして、アメリカ憲法のことを「いままでに実現された人民自治の最高の形態」としている事実は、実はあまり知られていないという。一部にこの劇の創作だと思われているが、実話である。.
歴史は繰り返す。最初は悲劇として、二度目は喜劇として。
過去の亡霊を呼び出し、深く考えることなく由緒ある衣装に身をまとい、借りものの言葉を演じるだけなら、茶番だ。
人は誰しも社会で認められ、世の中に役立ちたいと願っている。人間にとって最大の幸福は、自分を生かせる仕事に巡り合うことだ。
「解釈」よりも肝心なのは、世界の変革である。
これまでの世界史、全社会の歴史は、階級闘争の歴史である。
宗教は抑圧された生物の嘆息である。宗教とは民衆の阿片である。人間が宗教を創るのであって、宗教が人間を創るのではない。人は自らの生を生きるのだ。マルクス主義は君の中に内在化していなければならない。
資本主義の自由は金銭で得られるまやかし。貨幣は一切の事物を倒錯させ置換する。
資本主義は「醜い男」だ。彼は自分のためこの世で最も美しい女性を買うことができると自惚れ、だから自分自身は醜くないと思い込んでいる。
物質世界の価値の増大に正比例して、人間世界の価値の剥奪が進行する。無限の経済成長しか解決策がないという資本家によるおとぎ話の虚偽を、経済どころか生産手段まですべて崩壊した瞬間に気づくのでは遅い。カタストロフは刷新ではない。救える者は今すぐ救え。
マルクスは、猪熊恒和。最後の場面では、別な役職を得る(☺️)。衣裳・小林巨和。撮影・姫田蘭。
東京公演はあとたったの四日間、5ステージのみです。
12月 5日(木)19:00
12月 6日(金)19:00
12月 7日(土)14:00 / 19:00
12月 8日(日)14:00
アフタートークの回は、以下の通り。
12月5日(木)19時 松元ヒロ(スタンダップ・コメディアン)
12月6日(金)19時 安田純平(ジャーナリスト)
12月7日(土)19時 馬奈木厳太郎(弁護士・映画『誰がために憲法はある』製作)
伊丹、岡山、名古屋でも公演します。
[ 伊 丹 ]12月13日(金)〜15日(日)AI・HALL