世界も大体行きつくした。
大きいようなことを言うようだが、実際、オカブのような細民にはもう、大袈裟なところに行く意欲も金も残されていない。
もはや、暑苦しい賤ヶ家に籠っているのみである。
ただ、あと一か所行くことを許されるなら、東欧には行ってみたい。
プラハに行ってチェコのビールを飲んでみたい。
金虎亭でビールを飲んでみたい。
クネドリーキも食いたい。
アヒルのローストも食いたい。
・・・・
というわけで、欲望の塊になるわけである。
灼けたりと空港の陽の朱にもえ 素閑
焼灼の砂の一つを掴みたり 素閑
浪漫のやかた外庭灼けつくし 素閑
想念も灼けて問わざる無一物 素閑
関東も一途の恋に灼け果てぬ 素閑
暮れてなほ灼けるを覚ぼゆ西座敷 素閑
熱き沙聖徒の果てる西の方 素閑
錦なす伽羅曼荼羅に灼ける沙 素閑
大棕櫚の影より出でて灼けにけり 素閑
ひたすらに香華ひとすじ灼けにけり 素閑
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