昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

雪囲い

2018-12-15 16:25:11 | 俳句

昔『恍惚の人』という小説が話題になり、売れたことがあった。
作者は有吉佐和子である。
オカブが高校に通っていたころであろうか?
作者は後に不意の最期を遂げたが、それは措いておいて、その作品のモチーフの取り上げ方に有吉の慧眼を感じざるを得ない。
これは、まさに老人性認知症とその家族の悲劇であり、40年以上たった今でも、現代的なテーマである。
人間の命の尊厳とは言うが、一方で「尊厳死」という言葉がある。
命永らえるだけ生きて惚けていくか、自分の意思の明確なうちにきっぱりと死すか、どちらが「厳か」かは分からない。
現代医学の進歩は死病の無い人なら、究極まで生き永らえさせる。
その環境・状況の中で人間の尊厳とか、幸福を考えるのは容易なことではない。
まさに生老病死の苦界である。

雪囲い晴れの湯の里神の里   素閑

雪囲いなして猟銃磨きけり   素閑

雪囲い胸病む人の居る家や   素閑

古竹を集めて雪のかこひなす   素閑

雪囲い三日外出ず丸まりて   素閑

雪囲い終えたる村の静けさや   素閑

鳥も去る雪囲いの居独り建つ   素閑

雪囲い都のうわさ聞きもせず   素閑

雪囲いむらをさ酒を好みけり   素閑

腫物のひどくなりけり雪囲い   素閑

雪囲い北海越えて吹く風や   素閑

北国や枯れ田の向こふに雪囲い   素閑


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