これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

男は○○のように生きていく

2015年08月09日 21時03分04秒 | エッセイ
 エッセイ教室のリーダーである美知子さんは、エッセイの腕もさることながら、優れたエンターテイナーでもある。去年の忘年会では「50音順で表す、嫌われるオヤジの特徴」などというゲームを提案し、大いに盛り上げてくれた。
「今日はね、クイズを持ってきたの。偉人の言葉の穴埋めよ」
「偉人?」
 まずは、ドイツの文豪ゲーテから。
「涙とともに(   )を食べたものでなければ、人生の味はわからない。さて、何を食べたのでしょう」
「うーん」
 その日、エッセイ教室のメンバーは4人いたが、私はすぐにピンときた。
 日本だったら「めし」となるはずだ。しかし、異国のドイツに、おにぎりや卵かけご飯があるはずもない。
「パン!」
「砂希さん、あったり~!」
「わあい♪」
「じゃあ、次いくわよ。エドワード・ヤングの言葉で、富は向こうから勝手にやってくることもあるが、(   )はこちらから近づかない限り手に入らない」
 悦子さんが早かった。
「宝くじ?」
「ブブー」
 洋子さんも手を挙げる。
「いい男?」
「ブブー。正解は、知恵でした!」
「へー」
 これはナイスな言葉である。いつの間にか賢くなっている、なんてことはあり得ない。知恵を得るには、自ら努力をしていくしかないのだ。
 珍答続出だったのが、次の問題であった。
「今度はイギリスの劇作家トマス・デッカーです。女がいなかったら、男は(   )のように生きていくだろう」
 脳裏に浮かんだのは、母がいないときの父親の姿である。片っ端から鍋のフタを取って食べ物がないか探し、着の身着のままで過ごす。食べたら食べっぱなし。衣類はその辺に脱ぎ散らかしたまま。本能で生きている様子は、およそ文化人ではなかった。
「はいはいっ、猿!」
「ブブー」
 残念、ハズレだったか。
 悦子さんも続いた。
「ゴミ?」
「ブブー」
 そもそも、ゴミは生きているものではないが……。
 これをお読みになっている皆さまも、ぜひご一緒に考えていただきたい。
 誰もが驚く正解が待っているからだ。
「答えは、神でした」
「ええーっ!」
 意外や意外。誰一人として、予想していない答えであった。どこから神がやってくるというのか。
「うちの夫なんか、ゴキブリって言ったのよ」
 美知子さんがカラカラと笑う。男性自らが「ゴキブリのように生きていくだろう」とは、自己申告?
 もっとも、この「神」には裏があって、真意は「神のようになったつもりで傲慢にふるまう存在」ということらしい。それなら納得できるが、かなり高度な穴埋めであった。
 ところで、あなたはどんな言葉をあてはめましたか?


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)
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