ブロ友さんから情報を得て、アルチンボルド展に行ってきた。
国立西洋美術館に入ってすぐ、「作品数が少ない」と口を尖らせた。リストを見ると、全部で86の作品が並んでいるようだが、アルチンボルドの絵はわずか26に過ぎず、残りは別の画家で誤魔化している。しかも、このうち10作がデザインであることを差し引くと、じっくり鑑賞したくなる絵は16に減る。「これしかないのか」と不満を抱きつつも、その16作があまりにもすご過ぎて、退屈しなかった。
アルチンボルドは「寄せ絵」と呼ばれるだまし絵のパイオニアである。花や動物、果実、魚などを何十種も描き込んだ結果、人の上半身ができ上がるのだから、発想の斬新さに驚かされる。しかも、それぞれのパーツが、質感豊かで実にリアルだ。
たとえば、リーフレットに載っている代表作をご紹介しよう。
ブドウや洋梨、カボチャ、栗などでこんな顔が。
シカやサル、馬、象なども、たくさん集まれば人になる。
タコ、エビ、ヒラメ、サメ、カニからも人間が生まれる。
きっと、描いている画家本人も楽しんでいたのだろう。それぞれのパーツには生命が吹き込まれたかのように、表情豊かで生き生きとしている。絵の中には、いくつもの暗号が隠されているらしい。「ふふふ、この意味がわかるかな?」などといたずら心全開で描いたのかもしれない。
「庭師/野菜」というタイトルのこの絵は、上下絵である。籠の中には、何の変哲もない野菜が詰め込まれているように見えるが、上下を逆さまにすると、あーらら、男の顔になるから不思議。
本物は色鮮やかで、写真にはない妖しい輝きを放っている。心の窓を開けて、じわじわ近づいてくる魔力を感じる。ぜひ、空いている今のうちに、美術館まで行かれることをおススメしたい。
もうひとつ、おススメしたいのが、展示室入口にある「アルチンボルドメーカー」だ。スマホやカメラはロッカーに入れぬよう気をつけて。自分の顔をモチーフに、オリジナル寄せ絵を表示してくれるので、素通りする手はない。
機械は2種類あり、それぞれ正面の顔、横顔を映してくれる。
まずは左側の機械から。
正面。
横顔。
次に右側の機械へ。
正面。
横顔。
おおっ、ぶさいくだな~!
それでも、アルチンボルドが身近に感じられ、ホクホクしながら美術館を出た。いい展示を教えてもらって幸せだ。
長居しなかったのは館内が寒かったからだ。心ゆくまで鑑賞したいという方は、嫌味っぽく、中綿入りの冬のジャケットをお持ちになるとよいだろう。
9月24日まででーす!
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
国立西洋美術館に入ってすぐ、「作品数が少ない」と口を尖らせた。リストを見ると、全部で86の作品が並んでいるようだが、アルチンボルドの絵はわずか26に過ぎず、残りは別の画家で誤魔化している。しかも、このうち10作がデザインであることを差し引くと、じっくり鑑賞したくなる絵は16に減る。「これしかないのか」と不満を抱きつつも、その16作があまりにもすご過ぎて、退屈しなかった。
アルチンボルドは「寄せ絵」と呼ばれるだまし絵のパイオニアである。花や動物、果実、魚などを何十種も描き込んだ結果、人の上半身ができ上がるのだから、発想の斬新さに驚かされる。しかも、それぞれのパーツが、質感豊かで実にリアルだ。
たとえば、リーフレットに載っている代表作をご紹介しよう。
ブドウや洋梨、カボチャ、栗などでこんな顔が。
シカやサル、馬、象なども、たくさん集まれば人になる。
タコ、エビ、ヒラメ、サメ、カニからも人間が生まれる。
きっと、描いている画家本人も楽しんでいたのだろう。それぞれのパーツには生命が吹き込まれたかのように、表情豊かで生き生きとしている。絵の中には、いくつもの暗号が隠されているらしい。「ふふふ、この意味がわかるかな?」などといたずら心全開で描いたのかもしれない。
「庭師/野菜」というタイトルのこの絵は、上下絵である。籠の中には、何の変哲もない野菜が詰め込まれているように見えるが、上下を逆さまにすると、あーらら、男の顔になるから不思議。
本物は色鮮やかで、写真にはない妖しい輝きを放っている。心の窓を開けて、じわじわ近づいてくる魔力を感じる。ぜひ、空いている今のうちに、美術館まで行かれることをおススメしたい。
もうひとつ、おススメしたいのが、展示室入口にある「アルチンボルドメーカー」だ。スマホやカメラはロッカーに入れぬよう気をつけて。自分の顔をモチーフに、オリジナル寄せ絵を表示してくれるので、素通りする手はない。
機械は2種類あり、それぞれ正面の顔、横顔を映してくれる。
まずは左側の機械から。
正面。
横顔。
次に右側の機械へ。
正面。
横顔。
おおっ、ぶさいくだな~!
それでも、アルチンボルドが身近に感じられ、ホクホクしながら美術館を出た。いい展示を教えてもらって幸せだ。
長居しなかったのは館内が寒かったからだ。心ゆくまで鑑賞したいという方は、嫌味っぽく、中綿入りの冬のジャケットをお持ちになるとよいだろう。
9月24日まででーす!
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
私も今週辺りに狙っています!
予習が出来たので抜かりなく楽しんでまいります
休日出勤が増えて、週末が一日しかないと、上野が遠く感じます。
パンダもライチョウも生まれたし、夏休みも来るし、涼しそうだし、避暑によさそうな。
この作家さんは色々と悩みながら描いていたのでしょうね。
作品数が少ないのが残念です。
教えていただいて感謝しております。
こんなに面白い絵を見損ねたら残念すぎますもの。
てっきり、もう行かれたのかと思っていました。
夏休み前がよさそうです。
ポストカードが欲しかったのですが、寒さで凍えた娘に「早く出よう」と阻止されました。
常設展もなかなかです。
ZUYAさんのレポートも楽しみに待ってま~す!
私もこのところ、土曜か日曜がつぶれています。
やっと来週からは連続で休めますよ。
避暑にはもってこいですね(笑)
長袖を着ていても寒かった……。
西洋美術館のいいところは、駅から近いところでしょうね。
公園口のC'Sカフェでクレミアというプレミアムソフトクリームを買いました。
暑さで溶けたのですが、溶けたほうが美味しかったです。
ラングドシャのコーンが、しっかりキャッチしてくれました。
緻密な計算をして、それぞれの絵を描き込んでいる気がします。
1枚描くのにどのくらいの時間がかかるんでしょうね。
数カ月で描いちゃうのかしら……。
風刺の利いた絵も見ました。
発想も豊かですが、反骨心もたっぷりあったようで。
すごい画家がいたものです。
似た感じの作品に覚えがあります。
美術館に行く機会の少ない私は、ストライクゾーンが狭くなってしまっているようです。
つい、パッと見できれいな画をいいなと思ってしまって。
アンチンボルドの発想や風刺も、そう感動できない私のような人間がいて、申し訳ない気がします↓
どうなんでしょうね?
ひっくり返すと人間の顔にはびっくり(笑)
そういえば、日本にもそういった画家がいたなと調べてみたところ歌川国芳という名が…
いつも思うのですが、地方には文化施設や美術館が多いわりに多様性が無くて困ります。
人口が少ないから仕方がないといえばそれまでですけどo( _ _ )o~† パタッ
ランス美術館展の作品リストを見てみました。
ないですね。
レオナール・フジタばっかり(笑)
アルチンボルドの絵も、すごくキレイなんですよ。
他の画家の描いた寄せ絵とは、まったく違います。
写実的で、色彩豊かで明るくて、クスッと笑っちゃうような絵でした。
実物を目の当たりにしたわけではないので、感動しなくても何の不思議もないでしょう。
機会があればぜひ。
歌川国芳はアルチンボルドの影響を受けていた、という説があるそうです。
でも、わが国にも元々寄せ絵はあるし、違うんじゃね?という説も。
真相は藪の中です。
別にどっちでもいいかな~(笑)
東京のいいところは、展覧会に不自由しないところかもしれません。
等身大ガンダムも、大きなナマハゲには負けます!
アルチンボルドだって、足が速かったかもしれないし~(笑)