目が覚めたとき、あたりは暗闇だった。時間はまもなく午前0時になるところ……。
どうしてこんな時間まで、居間の床に寝ていたのだろう?
まったくわけがわからず、しばし考え込んでしまった。その日は私の誕生日だったので、小6の娘と夫から花をもらったあと、近所のイタリアンレストランで豪華なコース料理をいただいた。久しぶりのワインにはしゃぎ、帰宅してから何通かメールの返信をしたはずだ。だが、そこから先の記憶がない。
寝室をのぞいてみると、夫と娘が温かい布団の中で、安らかな寝息を立ててぐっすり眠っている。私はかなりのダメージを受けた。
ひどーい、どうして起こしてくれなかったの! 私の誕生日だっていうのに、二人でさっさと寝ちゃって……。あんまりじゃないの!
二人の気持ちよさそうな寝顔を横目でにらみ、私はすごすごと洗面所に向かった。
なんてみじめな誕生日……。
寝ようとしたら、布団までもが冷たかった。
翌朝、夫と顔を合わせても、ムカムカしておはようの挨拶しかしなかった。もっとも、普段から会話が弾まない夫婦だから、いつも通りと言えないこともなかったが。
「おはよう」
娘が起きてくると、それまでの気詰まりな空気が一変する。しかし、その日の娘はやけに機嫌が悪かった。
「お母さん、昨日は何時に寝たの?」
いきなり尖った声で話しかけてきた。
「うーんと、12時だったかな……」
「ミキは、お母さんのせいで寝不足なんだよ~!」
どこが寝不足なのだ。あんなにグースカ眠りこけていたくせに。
「お母さんだって寝不足だよ。なによ、二人して先に寝ちゃってさ。どうして起こしてくれないのよ!」
思わず不満をぶちまけると、娘は心外だと言わんばかりに、声を荒げて反論してきた。
「起こしたよ! 何度も何度も体を揺すって、耳元で話しかけて! でも、お母さんは全然起きなかったの!」
ワインに酔った私は、9時頃から居間で眠り込んでしまったらしい。娘の声に反応する様子はなく、起きる気配ゼロだったものだから、ついに諦めて放置し二人で床に就いたという。
「でもね、心配になったからミキは何度も起きてお母さんを見に行ったの。11時くらいまで眠れなかったんだから! それなのに、それなのに、何で起こしてくれないのなんてひどいっ! キーッ」
娘は怒り出し、金切り声を上げて私を罵りはじめた。ムキになっている娘を見て、私はこらえきれずにふき出した。
そうか、そういうわけだったのか! 見捨てられてなくてよかった!!
以来、朝寝坊を注意すると、娘にこう言い返されようになってしまった。
「何さ、お母さんだって起きなかったくせに!!」
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※姉妹ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^(11/16更新)
どうしてこんな時間まで、居間の床に寝ていたのだろう?
まったくわけがわからず、しばし考え込んでしまった。その日は私の誕生日だったので、小6の娘と夫から花をもらったあと、近所のイタリアンレストランで豪華なコース料理をいただいた。久しぶりのワインにはしゃぎ、帰宅してから何通かメールの返信をしたはずだ。だが、そこから先の記憶がない。
寝室をのぞいてみると、夫と娘が温かい布団の中で、安らかな寝息を立ててぐっすり眠っている。私はかなりのダメージを受けた。
ひどーい、どうして起こしてくれなかったの! 私の誕生日だっていうのに、二人でさっさと寝ちゃって……。あんまりじゃないの!
二人の気持ちよさそうな寝顔を横目でにらみ、私はすごすごと洗面所に向かった。
なんてみじめな誕生日……。
寝ようとしたら、布団までもが冷たかった。
翌朝、夫と顔を合わせても、ムカムカしておはようの挨拶しかしなかった。もっとも、普段から会話が弾まない夫婦だから、いつも通りと言えないこともなかったが。
「おはよう」
娘が起きてくると、それまでの気詰まりな空気が一変する。しかし、その日の娘はやけに機嫌が悪かった。
「お母さん、昨日は何時に寝たの?」
いきなり尖った声で話しかけてきた。
「うーんと、12時だったかな……」
「ミキは、お母さんのせいで寝不足なんだよ~!」
どこが寝不足なのだ。あんなにグースカ眠りこけていたくせに。
「お母さんだって寝不足だよ。なによ、二人して先に寝ちゃってさ。どうして起こしてくれないのよ!」
思わず不満をぶちまけると、娘は心外だと言わんばかりに、声を荒げて反論してきた。
「起こしたよ! 何度も何度も体を揺すって、耳元で話しかけて! でも、お母さんは全然起きなかったの!」
ワインに酔った私は、9時頃から居間で眠り込んでしまったらしい。娘の声に反応する様子はなく、起きる気配ゼロだったものだから、ついに諦めて放置し二人で床に就いたという。
「でもね、心配になったからミキは何度も起きてお母さんを見に行ったの。11時くらいまで眠れなかったんだから! それなのに、それなのに、何で起こしてくれないのなんてひどいっ! キーッ」
娘は怒り出し、金切り声を上げて私を罵りはじめた。ムキになっている娘を見て、私はこらえきれずにふき出した。
そうか、そういうわけだったのか! 見捨てられてなくてよかった!!
以来、朝寝坊を注意すると、娘にこう言い返されようになってしまった。
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布団は欲しいですね。いや、新聞紙でもいいから、気にしていたんだという証拠があるとウレシイ。
そんな贅沢を言おうものなら、使用済みの靴下とか雑巾なんかをかけられそう(笑)
せめて毛布かけとけ!
所詮人間は自分中心にしか物事を見ませんからね。
娘の「何言ってんのよ、アンタ」的な反応が見ものでした。
うちの嫁さんも10時にはおねむのおこちゃまさん。
ゆすろーがなにしよーがおきゃしない。特にお酒が入ると全く微動だにしなくなるこまったお地蔵ちゃん。
旦那さんと娘さんに逆切れするのはお門違いですよ~
でも気持ちはわかりますよ。気がついたら真暗で一人ぼっちしたってのはかなり凹みますよね
学生の時、9時に起きて「やべっ!遅刻だ!」って思って、急いでしたくして勢いよく外に出たら真っ暗ってことがありました。昼寝してたのを忘れてて、午後9時におきてあわてたんですね~。あほですね~。
そんな感じでしょうか?全く違う?失礼いたしました。
しかし、砂希納言さんの酔っ払ってうたたね姿は、想像すると・・・ちょっと笑ってしまいます。