上達論と勝負論について…

上達論と勝負論について…


上達とは、練習して上手になる事。
勝負とは、あるルールに従って勝ち負けを決める事。

上達論とは、上達の論理・理論。
勝負論とは、勝負の論理・理論。


「試合」における勝負の判定には、
上達論的な判定と勝負論的な判定が可能である。

それは、試合で決まった技に対する二つの観点でもある。

決闘―両者の争いや恨み等にケリを付ける為に、生命を賭けて、約束した方法で闘う事。
決闘なら判定は全て勝負論―相手の生命を奪うか・相手がギブアップしたら勝、となろう…。



例えば、試合で蹴り技が決まったとしよう。

上達論的に、その「蹴り技」を見るなら～

その蹴り技の習得度が如何に？
相対的な習得度―その者がどれだけ上手になっているか。
絶対的な習得度―その技の威力の強度と技の当て方・当たり方のタイミングと場所如何。


勝負論的には、
その技で相手が倒れていれば「勝」である。
技が当たっても対手が立っていれば、勝でなく続行。


もっとも…
現代では、倒れるまでの試合はでき難いので…
ルールに基づいた技・技の形が当たれば「勝」と言えようか…


上達論的な試合と勝負論的な試合の違いは、その「勝」の判定基準の相違である。

上達論的な試合では、
事前に決められている技を、より基本に近い形で駆使できたら、技の形は「秀」。
また、その技の基本形をその技の使い方の基本形で使えたら、技の使い方も「秀」。
更に、基本形・使い方の基本形で対手の急所に当てられたら、「優秀」


勝負論的な試合とは、どんなに技の型が崩れていても、対手に当たれば「勝」。


因みに、この二つの観点は、教師の児童に対する指導法にも言える事である。

児童が授業中に騒がしい時、

教師が大声で怒鳴って静かにするのはその場を、静かにしたので「勝負論」的な指導。
更に、その後、静かにする理由を確りと児童達に納得させられれば「上達論」的な指導。

教師によっては、児童が騒がしい時、
大声で怒鳴らず、より小声にしたり、
突然に黙って児童達に気付かせようとする指導をする。


学校での児童の指導には、上達論的な観点が求められる。
何故なら、児童は未熟だから、そこに多いなる上達の可能性がある。

児童ができない事を、教師が強制的に今すぐにできるようにする指導ではなく、
今すぐにできなくても、近い将来に児童が自力で出来るようになる指導が求められるのだろう。