しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「流星の絆」 東野圭吾

2008年08月30日 | 読書
「流星の絆」 東野圭吾   講談社

洋食店『アリアケ』の3兄妹、小学6年の功一、4年の泰輔、1年の静奈はペルセウス座流星群を見るために、親に内緒で家を抜け出す。
戻って来た子どもたちは両親が殺されているのを発見する。
裏口にいた泰輔は、家から出て来た見知らぬ男を目撃していた。
警察は似顔絵を作るが、犯人は見つからないまま時は過ぎる。
14年後、3兄妹は詐欺行為でお金を得ていた。
詐欺のカモに見つけた、洋食レストラン『とがみ亭』社長の息子、戸神行成に静奈が近づき、泰輔が見張る。
そんな時、行成の父親、政行を見て泰輔はあの時の男だと言う。
戸神政行が本当に両親を殺した犯人なのか、3人は調べ始める。



いつも期待して読む東野圭吾さん。
小学生の3兄妹の両親が殺されるとう悲惨な重い始まりだったが、割りと軽い感じの物語。
もっとサスペンス色濃いものを期待していたので、少々肩透かし。
事件の結末も、何だか無理があるような気がする。
その登場人物、そんな事があったらもっと違う行動をとるのではと思えるから、自分の中で納得がいかない。
意外な行動が驚きになって、そうだったのかと納得出来ることもあるのだが、今回は、それは違うのではと思ってしまった。
そして、仕掛ける罠もちょっとそれはと思うような事もあるし、その他にも突っ込みどころが結構ある。
ラストシーンもなんだかとってもお気楽だ。
そしてなにより、自分の中で一番しっくり来なかったのは主役の3兄妹、功一、泰輔、静奈。
3人の個性があまり見えなく魅力的に感じられないのと、タイトルにある「絆」が3人の間に感じられないこと。
どうしてだろうと考えたら、事件の時と、とってつけたような施設でのエピソードがひとつあった後すぐに大人になってしまったからだろう。
事件の時、子ども3人の様子はとてもよく書かれ、伝わって来るものも多かったのだが。
その後が苦労の様子や、助け合った姿が書かれていないので、どれだけ強い絆があるのか見えない。
そして、3人がそういう能力を持った大人になれた下地が見えないので、深みが感じられない。
例えば「白夜行」は亮司も雪穂もちゃんと下地があり、こうなったというのが分かるのだが。
東野さんだからと期待の仕過ぎなのだろうか、辛口になっているかも。

後、本のキャッチコピーはネタバレ。先が読めてしまうものは困る。

秋にテレビドラマになるそうだ。
確かにドラマ向きかも知れない。それなりの面白いドラマになりそうだ。
なんとなく想像がついて、自分はあまり見たいとは思わないが。


【追記】
テレビドラマはやはり気になり見る。
1回目が結構面白く、次も見て、結果として最後まで見ることが出来た。
ほとんどテレビドラマを見ない自分にしては画期的。
テレビ的でそれはないだろうと思う部分もあったが、原作を上手に消化して、原作よりもいいかなと思う部分もあり、面白かった。
なにより映像から伝わる兄弟妹の絆が良かった。
ひとつ、お金がないのにあんな豪華なマンションには住めないだろう。

あまり映像に恵まれない東野作品。
この作品とガリレオはヒットだと思う。
「白夜行」は最悪で早々に見るのを止めてしまった。Studio Life の演劇は良かったのだが。
             (09・4・19記)





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