しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「奇面館の殺人」   綾辻行人  

2012年07月16日 | 読書
「奇面館の殺人」   綾辻行人        講談社ノベルス

東京の山奥に建つ奇面館。
そこの主人・影山逸史は1年の1度、客を招待して集まりを持つ。
それは、 “もう一人の自分”を探すため。
集まった人は、影山逸史と生年月日が同じだった。
今年が3回目で、招かれたのは6人の男たち。
館では、皆仮面で “顔”を隠くす。
すっぽりと頭部を覆う仮面は、主人が「祈り」。
後の6つは、「怒り」「驚き」「哄笑」「歓び」「懊悩」「嘆き」。
招待された小説家、日向京助は急病の為、自分に顔が似ている、小説家、鹿谷門実に代役を頼む。
鹿谷は、奇面館を建てたのが、中村青司と知り、代役を引き受ける。
その集まりの日は、4月だと言うのに猛吹雪となり館が孤立。
そんな中で、殺人が起こる。

館シリーズ、第9弾。





わりとストレートな推理もの。
中村青司の館だから、突然思わぬからくりが現れるのは、納得。
そのからくりの仕様も、楽しみのひとつ。
元刑事さんもいるが、鹿谷門実の推理だけで、事件が解決していく。
すっかり名探偵。
閉ざされた空間、死体があって、名探偵登場。
前作の『暗黒館』がかなり盛り沢山だったので、あっさり感が。
登場人物も、特徴があるようであまりない。
それは仮面を被っているからそう感じるだけなのか。
謎解きをするのに必要なのは、小さなことも見逃さない注意力。
あまり人物の性格は関係ないからかも知れない。

同じ生年月日の他にも同じ条件が、集められた6人にはあった。
そう都合よくはと思ったら、突っ込む前に、鹿谷と日向が雑談のように言われてしまう。
「―なんていう偶然はミステリ的なリアリティの基準ではまず『不可』でしょうから」と。

しかし、今回の館のからくりは、何だか今一つ。
あまりにも“開ける”のに手間が掛かりすぎではないだろうか。

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