しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「氷の華」 天野節子 

2008年11月26日 | 読書
「氷の華」 天野節子       幻冬社

東陽事務機営業一課の部長瀬野隆之の妻恭子は夫の海外出張中に隆之の愛人から電話を受ける。
関口真弓と名乗る女性は自分が妊娠し、恭子には子どもが産めないことを罵る。
隆之は離婚して自分と結婚を決めていることを告げる。
郵便受けには真弓から母子手帳のコピーが届けられていた。
その手紙には住所も書かれていた。
まだ子どもがなく不妊治療を受けていた恭子はそのことで激怒し、真弓殺害を決意。
隆之が持っていた合鍵で留守中の真弓の家に進入して冷蔵庫のジュースに農薬を入れる。
恭子は真弓の部屋で見た、母子手帳と2人で写った写真を一度は持ち去ろうとしたが、何故かいけない気がして置いて行く。
その時恭子は真弓の部屋が、電話を掛けてきた人物との印象の違いに違和感を覚える。
殺害された真弓が発見され、それが東陽事務機の社員であったことが判明する。
帰国した隆之は簡単な事情聴取だけで家に帰って来るが、平然としている隆之に愛する人を失った悲しさは見られなかった。
真弓が妊娠していたことは報じられず、恭子は言い知れぬ不安を感じる。




テレビドラマになったのでこの本の存在を知ったのだが、ドラマの方は見ていない。
読んで、ドラマに似合う物語だと思ったが、きっとドラマは違うのだろう。
面白かった。
主人公の瀬野恭子は人目を引く美貌、明晰な頭脳、豊かな財産、自分中心の考え方とまさに女王様タイプのヒロイン。
あまり好きなタイプではなく共感もしていないのだが、戸田刑事とのやり取りでは瀬野恭子の方を応援して読んでいた。
それは、犯行後分かって来た矛盾点を一緒に考えていたからだろう。
何がどうなっているのか、はっきりしないことが段々と分かっていく面白さ。
罠に嵌められても、それを巧みに潜り抜けて行く恭子の強かさは気持ちが良かった。
最後にもうひとつ山を持って来たところはちょっとありがちだ。
そのラストは少々テレビ的過ぎるというかドラマチックなようだが、ありきたりというか、もう少し違うものが欲しかった。
それを期待出来る瀬野恭子の強かさだったのだが。
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