しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「僕を殺した女」   北川歩美 

2011年09月22日 | 読書
「僕を殺した女」   北川歩美          新潮社

覚醒した意識が異変を知らせていた。
ここで眠った記憶がないが、側にウォッカの瓶が転がっている。
記憶が抜けるのは何度もあったが、だんだん性質が悪くなっている。
しかし、起き上がり周りを見て驚く。ここは自分の部屋ではない。
そして、鏡を見てもっと驚く。女の顔が映っている。
僕は「篠井有一」、男だ。
僕が覚えている昨日は、1989年9月26日だったが、今日は1995年1月9日。
そして、見知らぬ部屋と思ったのは、自分が住んでいたマンションの部屋だった。
何故、5年も時が経ってしまったのか、何故女の身体になってしまったのか、篠井有一の身体はどこにいるのか。







SFめいた出来事に、有一がまず考えたのは『転校生』。
この女と、自分の意識が何かの拍子に入れ替わったのだと考える。
時間の違いや、相手はどうしているかなど、有一は結構冷静に考えていく。
マンションに今現在住んでいる、宗像久の存在も不思議キャラクター
少しの手がかりから始まり、色々な仮説をたて物語は進んで行く。
登場人物は、なにやらみんな怪しげ。
そして起こる、殺人。
だんだん複雑になっていくので、途中で見失わないようにしないといけない。
理論的には、間違いのないことで進んでいく。
有耶無耶に誤魔化したりはしない。
精神や肉体で、人間に起こることがたくさん出てくる。
『転校生』もそうだが、他のことも小説などの例があがるので、その点は分かりやすい。
しかし、少々詰め込み過ぎな感じがあり、ミステリーの要素がストレートに伝わらない。
事実が明らかになると、そういう事だったのだと分かるが。
あっと驚くというより、読んでいて少々疲れた。
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