しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「汚れた翼」 ジャン・バーク 

2010年03月03日 | 読書
「汚れた翼」 ジャン・バーク      上・下巻  講談社文庫
  Flight          渋谷比佐子・訳

10年前、ラス・ピエルナスのマリーナ・サウス。
トレント・ランドルフが、2人の子どもセスとアマンダと共にヨットでの旅を終え、港に戻ったところを襲われる。
セスだけが重症を負うが命は助かる。
始めにヨットに乗り込み救助した殺人課の刑事フィリップ・ルフェーヴルは、セスが気に掛かり面倒を見る。
地元のギャング、ホワイティ・デーンの犯行を示す証拠が見つかるが、ルフェーヴルは疑問を持つ。
意識を取り戻したセスも犯人は警察内部にいることを示唆する。
内密に捜査を進めるが、何者かの罠が自分に掛けられたことをルフェーヴルは知る。
そして、病室でセスが殺され、ルフェーヴルはセスナ機で失踪する。
ルフェーヴルは容疑者デーンに買収され、セスを殺害した犯人とされた。
10年後、墜落したセスナ機が発見され、ルフェーヴルの遺体が見つかる。
事実不明の事件の再捜査に、フランク・ハリマン刑事が任命される。
10年前にはラス・ピエルナス警察署にいなく、偏見を持たないと言うのが理由だった。

新聞記者アイリーン・ケリーシリーズの8作目。
主人公は夫のフランク・ハリマン。



自分にとっては2作目のジャン・バーク。
これもとても面白かった。
犯人は警察関係者と言うのが分かっているのだが、身内に殺人者がいる事の怖さが伝わる。
半分、分かっているのも結構怖い。
刑事の中では一匹狼だったルフェーヴル。その捜査をすることによってハリマンも同じ立場に立たされる。
内部告発者と、それを阻止しようとする反対派。そんな不穏な空気が感じられる。
ルフェーヴルもハリマンもそんな事には動じないが、弱い人間だったら何が正義かを忘れそうになりそう。
それが警察内部なのだが。
真っ直ぐに生きるルフェーヴルの結末が可哀想過ぎる。
しかし、今回の犯人はもっと違った手段を選べたのではないかと思える。
自分が知った悲しみや絶望を関係のない人間にぶつけている。
同じ思いを生むだけと言うのに気が付かないのは、狂信者ということか。

最後はとんでもないことが起こる。
まさか、こんな大掛かりなアクションがあるとは。
そのお陰で、ビングルが活躍のシーンが出来たのだが。

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