しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「時間封鎖」 ロバート・チャールズ・ウィストン 

2009年06月17日 | 読書
「時間封鎖」 ロバート・チャールズ・ウィストン  上/下巻 創元SF文庫
SPIN           茂木健・訳

ある夜、空から星々が消え、月も消えた。翌朝、太陽は昇ったが、それは贋物だった…。
周回軌道上にいた宇宙船が帰還し、乗組員は証言した。
地球が一瞬にして暗黒の界面に包まれたあと、彼らは1週間すごしたのだ、と。
だがその宇宙船が再突入したのは異変発生の直後だった―地球の時間だけが1億分の1の速度になっていたのだ。
界面を作った存在を、人類は仮定体(仮定上での知性体)と名づけたが、正体は知れない。
だが確かなのは―1億倍の速度で時間の流れる宇宙で太陽は巨星化し、数十年で地球は太陽面に飲み込まれてしまうこと。人類は策を講じた。
界面を突破してロケットで人間を火星へ送り、1億倍の速度でテラフォーミングして、地球を救うための文明を育てるのだ。迫りくる最後の日を回避できるか。
    <文庫本 上下巻 裏表紙より>



突然地球に起こった異変。星が見えない、太陽は偽者。
だけれども、特に生活に変化が生じるわけではない。
衛星を使う通信網などが使えなくなった程度。
それが重要な人たちは、早い内に他の手段を考え出していく。
こうなると、一般に生活している多くの人たちは、今までとの違いは感じられないだろう。
しかし、時間の早さが宇宙より遅くなった為に、何十年かしたら太陽に飲み込まれてしまう。
その前に界面が突然なくなったら、直ぐに終末が来ると分かっている。
そんな中で生活しているのは、どんな気持ちだろう。
この物語は、直接この異変に向き合っている人が主人公だが、世の中の動きもよく分かるように書かれていて、興味深い。
未来がないと分かると自暴自棄になる人、自らの手で人生を終わらせてしまう人、何かに救いを求めて頼ろうとする人。
思い出したのが、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」。
そんな異変があった後の世界の物語。
世界が終わると言われて、でも先は実際に来ないと分からない。
それを見届けるのも勇気がいる。

太陽が燃え尽きる事、これは遠い遠い未来だが、確実に来ること。
その時人類は対応出来るだけ、発達しているだろうか。やはり移住しかないのだと思うが。
それとも、その時はもう人類は存在していないのだろうか。

火星人の誕生を自分の目で見られるなんて、いいな。


3部作の1作目だそうだ。
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