しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「隠し絵の囚人」  ロバート・ゴダード 

2017年08月18日 | 読書
「隠し絵の囚人」  ロバート・ゴダード   講談社文庫   上・下巻
 Long Time Coming    北田絵里子・訳

1976年春。
職を辞して実家に戻ったスティーヴンは亡くなったはずの伯父が生きていたことを知る。
36年間アイルランドの監獄に収監されていたらしい。
投獄の理由を口にしない伯父のもとに、ある日ロンドンの弁護士から奇妙な依頼が届く。
実業家所蔵のピカソが盗品である証拠を見つけてほしいという。
       <文庫本上巻裏カバーより>

伯父が語り始めたのは、勢力を増すナチスがベルギーに侵攻しようとしていた1940年夏の出来事。
ユダヤ人のダイヤモンド商の頼みでアントワープからロンドンにピカソ・コレクションを届けた伯父は、アイルランドをめぐる英仏独の政治的駆け引きに否応なく巻き込まれていく。
       <文庫本下巻裏カバーより>









第二次世界大戦の、混乱した時代に端を発した物語。
伯父のエルドリッチがアイルランドで服役している事と、ピカソの贋作。
複雑な繋がりがあるのかと思ったら。
繋がりはある事はあるが、2つの事が起こったと言った方がいいくらい。
それはエルドリッチがアイルランドに行った事で起こる。
複雑なようで、意外と単純。
ピカソの贋作の方は、エルドリッチの話で簡単に分かって行く。
それまでの経緯が面白かったが、こちらの謎が深いのかと思っていた。
もうひとつのなぜ投獄されたかの方が複雑で、すっきりしない所もある。
戦争中のイングランドとアイルランドの緊張状態。
あまり知らない事だった。
闇に葬られても分からない怖い社会。
戦争中と言うのは、どこでもこんな感じになるのだろう。
ある意味情報戦でもあるのだから。
そんな時代の雰囲気が伝わって来る。

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