しましましっぽ

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「霜の降りる前に」  ヘニング・マンケル

2016年06月18日 | 読書
「霜の降りる前に」  ヘニング・マンケル   創元推理文庫   上・下巻5
 Innan Frosten      柳沢由実子・訳

リンダ・ヴァランダー、まもなく30歳。
警察学校を修了して秋からイースタ署に赴任することが決まり、この夏は父クルトのアパートに同居している。
久しぶりの故郷で、旧友ふたりとの付き合いも復活した。
だが、その友人のひとりアンナがいきなり行方不明に。
いなくなる直前にアンナは、彼女が幼いころ姿を消したままの父親の姿を見たと、リンダに告げていた。
アンナになにが?
心配のあまり、まだ正式に警察官になっていないからと諫める父の制止を無視し勝手に調べ始めるリンダ。
    <文庫本上巻1頁目より>

白鳥が燃やされる事件。子牛が焼き殺される事件。
イースタの周辺では奇妙な事件が続いていた。
頭のおかしい人間の仕業なのか。動物虐待か。
さらに女性が行方不明になったとの通報が入る。
だが驚いたことに、リンダのいなくなった友人アンナの日記に、行方不明の女性の名前があったのだ。
ふたりはどこで繋がっていたのか。リンダの不安は増すばかり。
調べているうちに、行方不明の女性の乗っていたベスパを見つけてしまった。
娘の勝手な行動にクルトは怒りを爆発させる。
人気の刑事クルト・ヴァランダーが父娘で難事件に挑む。シリーズ第9弾。
    <文庫本下巻1頁目より>









シリーズ第9弾、と書いてあったがこの主人公はリンダなので違う気がする。
リンダから見たクルトは、今まで読んできたクルト・ヴァランダ―とはちょっと違うイメージ。
こんなに怒りっぽく、感情を爆発させるのだ。
短気で癇癪持ちなのはリンダも同じで、それは本人も自覚しているのだが。
それにしても、父親だからと言ってガラスの灰皿を投げつけるとは。
まもなく30歳になろうとしている、しかも警察官になろうとしているリンダ。
その言動からも情緒不安定なところが見えて、これで大丈夫なのだろうかと思ってしまう。
事件そのものより、リンダの性格が気になって仕方なかった。
事件はショッキングな殺人や、動物殺しで不気味さを煽り立てる。
しかしそれがメインな事件との係わりを見ると、どうだったのだろう。
広げたままで終わってしまった、パズルのピースのような。
事件そのものは、リンダの偶然の幸運により意外とあっけなく解決。
事件はそんな感じだが。
クルトが友人のステン・ヴィデーンとの関係から人生を振り返っている感じがする。
これは、まだマンケルが元気な時に書かれたのだと思うが。
何だか、人生の先を見つめているように感じられる。
クルトの父親の話も多く登場するし。
生き方について語られている物語。
宗教もそういう物だろう。

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