「蜘蛛の巣の罠」 ラーシュ・ケプレル 扶桑社ミステリー 上・下巻
Spindeln 品川亮・訳
ユレック・ヴァルテルという凶悪な殺人鬼との闘いは、ヨーナ・リンナとサーガ・バウエルの捜査によって終止符が打たれた──はずだった。
心に深い傷を負って療養するサーガのもとに、連続殺人をほのめかす絵葉書が届くまでは。
「ヨーナを救えるのはきみしかいない」。
その葉書をサーガが受け取ってから三年が過ぎたある日、国家警察長官マルゴット・シルヴェルマンが失踪、後日遺体で発見される。
現場には葉書の記述どおり残された純白の薬莢。
それは新たな殺人鬼が練りあげた計画の始まりを告げる声だった……
<文庫本上巻裏カバーより>
サーガ宛にひとつまたひとつと届く、犯行を予告するフィギュア入りの小包。
謎かけを必死に解く刑事たちを嘲笑うかのごとく、〈捕食者〉による殺人は着実に遂行されていた。サーガと共同捜査を進めるヨーナは、事件をユレック・ヴァルテルの信奉者による犯行と疑い、かつてサーガがユレックへ接近するため潜入した閉鎖病棟の関係者を追う。
だが殺人鬼の魔手はヨーナの背後にも迫っていて……計画の最終目的、そして追いつめられたサーガを待つ運命とは──。
<文庫本下巻裏カバーより>
殺人予告の人数はヨーナを入れて9名。
その人物を鉛で作ったフィギュアと殺害場所に関するヒントになる物が一緒に送られてくる。
まるでゲームで、それを阻止できないサーガを嘲笑っているような。
しかも、サーガに関係のある人達ばかりなのだから。
しかし、これは復讐が目的の殺人。
こんなに複雑にしたら、本当に復讐したい人に辿り着く前に阻止されてしまうのではないか、と犯人は思わないのだろうか。
殺害の方法もなんとも手が掛かるもの。
快楽殺人なら、ゲーム感覚で分かるのだが。
確かにサーガの能力を試しているというのもあるが、物語を面白くしようとして、少々作り過ぎと言う感じもする。
普通の人だったはずの犯人が、そこまで色々な力を付けている事も驚く。
サーガの関係者を知るのは、情報収集ではなく、数学なのか。
ゲームとしては、推理する展開など興味深いのだが。
そして、何故こんな事になってしまうのだろうと言う流れ。
警察の組織も随分感情的になるものだ。
誰も信じられなくなってしまうのか。
ユレック・ヴァルテルは死んでもヨーナとサーガに祟る。
まだ続きがあるのだろうか。
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