しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「闇に問いかける男」 トマス・H・クック 

2011年02月13日 | 読書
「闇に問いかける男」 トマス・H・クック     文春文庫
 THE INTERROGATION     村松潔・訳

1952年、秋。
ニューヨーク市警刑事のノーマン・コーエンとジャック・ピアースは1人の男を取り調べていた。
アルバート・スモールズは、8歳の少女キャシーを殺したとして逮捕されていた。
スモールズは、キャシーの遺体が発見された公園の下水管で寝起きする浮浪者で、近くで凶器も発見されていた。
しかし、スモールズは一貫して否認を続ける。
確実な物的証拠がなく、証拠か自白がなければ後11時間後には釈放しなければならない。
ピアースは、同じ様に娘を殺害されていたので、犯人だと確信するスモールズを釈放させるわけにはいかなかった。





取り調べる刑事、その上司、容疑者、その他の登場人物、それぞれが抱えているドラマがある。
容疑者以外の心情が細かく書かれ、それが事件と交差していく。
そして少しずつ明らかになる容疑者の姿。
単純な事件かと思われたが、周りで起こっていたことが複雑に絡み合う。
以外と多い登場人物。ひとつに集約するのではないが、繋がっていく。
色々なことが関係して、段々何があったかが分かっていく。
しかし、最後に全部の真相を知っているのは、読者だけ。
それが、なんとも言えず寂しい気持ちにもなる。
確かに、すべてが明らかになるということはないのかも知れない。
暗く悲しい物語だが、ラストにひとつ明らかになる事実がある。
それに多少救われた気もするが、よく考えると、遅すぎた無念さの方が大きいかも。

タイムリミットがあるという、緊迫感も充分に感じられる物語。


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