しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」   東野圭吾 

2013年05月22日 | 読書
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」   東野圭吾      角川書店

第1章 回答は牛乳箱に
第2章 夜更けにハーモニカを
第3章 シビックで朝まで
第4章 黙禱はビートルズで
第5章 空の上から祈りを

東京から電車で2時間ほど離れた地方都市。
深夜、悪い事をして、逃走中の敦也と翔太と幸平の3人組。
乗っていた車が止まってしまい、朝まで隠れて逃げ出そうと、近くにある廃屋に逃げ込む。
そこは、翔太が下見に来た時に見つけたものだった。
そこは店舗兼用の民家で、閉じられたシャッターの上に看板が付いていて、雑貨屋という文字がかろうじて読めた。
しばらくして、シャッターに付いている郵便口から1通の手紙が手前に置かれた段ボールに落ちとされる。
それは、『月のウサギ』と名乗る人物が、ナミヤ雑貨店に悩みを相談する手紙だった。
敦也はここがナミヤ雑貨店であることを知る。
そして、そこに残された古い週刊誌から、かつて店主の浪矢雄治が悩み相談を受けていたことを知る。
3人は『月のウサギ』の悩みに返事をかくことにする。





郵便口から手紙を受け取り、裏口の牛乳箱に戻す。
過去と未来で手紙のやり取りをする物語は他にもある。
ずっと、3人組が手紙のやり取りをしていくのかと思ったら、そんなことはなかった。
ナミヤ雑貨店の事情や、何度も係りが出て来る児童養護施設『丸光園』のこと。
1人ひとりの事が、やがて大きな輪になり繋がって行く。
そんな所はとても上手い。
そして、最後にはその繋がりも明かされるのだけれど。
ここまではっきり明確な繋がりが書かれなくてもよかったかも。
少しは曖昧なままの方が、余韻があったような気もするが。
そして、軽い悩みの返事は、『生協の白石さん』を思わせる。
微笑ましい。
3人組の言葉や、浪矢さんの返事に、納得し感心することも多い。
相談する人は、聞いてもらうだけで気持ちが落ち着くのだろう。
そして、最後の決断はやはり自分でするものなのだろう。

物語としてもよくまとまっていて、こちらにも感心しつつ楽しめた。
ただ、3人組が『迷える子犬』に出した最後の返事はどうなのだろう。
いくら過去が分かっていても、そんなに明確に指示が出せる知識は、ちょっと調べた位では難しいと思う。
そして、その通りで成功する『迷える子犬』もちょっと出来過ぎで、ここはいまひとつ。


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