しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ボストン、沈黙の街」 ウィリアム・ランディ 

2010年01月21日 | 読書
「ボストン、沈黙の街」 ウィリアム・ランディ   ハヤカワ・ミステリ文庫
 MISSION FLATS      東野さやか・訳

アメリカ、メイン州の田舎町ヴァイセールズの若き警察署長、ベン・トールマン。
マタキセット湖のロッジで銃殺体を発見する。
それはサセックス郡地方検事補(ボストンの地方検事補)ロバート・ダンツィガーだった。
ボストン市警殺人課からエドマンド・カースが捜査に来る。
そして犯人を、ボストンのミッション・ポッシと呼ばれるギャング団のリーダー、ハロルド・ブラクストンと断言する。
トールマンは、自分の町で起こった犯罪の解決に自分も係わりたいと思い、捜査に参加してボストンに行く。
ダンツィンガーが関わっていた事件を調べるうち、ある過去の事件が浮かび上がってくる。



最後に驚く事実と、それに続く結末が待っているのだが。
驚くというより、呆気に取られると言うか。
自分としては好みの結末ではないのだが。
その結末にもっと衝撃というか、心を動かされてもいいと思うのだが、そうでもなかった。
それにたどり着くまでが少々長く、そこまで緊迫した気持ちが続いていなかったらしい。
途中で、何が問題になっているのか焦点がぼやけていた。
事件を捜査していると言うより、警察官の人間ドラマが展開されている。
それも面白いのだが。
もう少しコンパクトに突き進んでくれたらよかったのに、と思う。
結末が分かってから、ぱらぱら読み直すと、なるほどと思える箇所がある。
たくさんの伏線が張られ、どれもが必要なことだったのかも知れないけれど。
きっと読み直すと、また違った見方が出来て来るだろう。
しかし、やはりもう少し短く、テンポがいいとよかった。

警察官にも色々な人物がいて、その社会に対応することも必要なのだけれど、やはり心の中に正義は持っていて欲しい。
犯罪に接していると、段々感覚が麻痺すると言うことがあるのだろうか。
法に闇雲に従うということではなく、人間としての正義を大切にして欲しいと思う。
法も大切だと思うが。

ある人が誰かを守るために必死になる。
しかしそれが新たな悲劇をもたらし、また同じことが連鎖反応のように起こって行く。
結局は自分を守るためということになってしまうことある。
何だか、自分を見失った人ばかりが登場する物語のような気がする。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「きのうの世界」  恩田陸   | トップ | 「ウォーリー」 2008米 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事