しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「この町の誰かが」 ヒラリー・ウォー

2008年12月11日 | 読書
「この町の誰かが」 ヒラリー・ウォー    創元推理文庫
  A DEATH IN A TOWN      法村里絵・訳

アメリカ、コネティカット州クロックフォード。
どこにでもありそうな、平和で、そして平凡な町。
そこで一人の女子高校生サリー・アンダーズがベビーシッターをしていた家から姿を消し、死体で発見される。
いったい誰が犯人なのか。
その日、よそ者の男が町にいたという情報が入る。
警察はその男を捜し出そうとするが、果たして犯人はその男なのか。
この事件を関係者のインタビューや会議記録で描き出す。



ひとつの殺人が町に大きな波紋を起こしていく。
少女の死を悲しむ感情よりも、殺人者が自分たちの中にいるかも知れないという恐怖の方が大きく、色々な憶測が飛びかい、思いもしなかったことが起こる。
今まで起こらなかったことなので、波紋も大きい。
無理矢理にでも誰かを犯人にして、安心したい気持ち。
何事もなければ心の奥に隠れていたもの、差別や偏見がそういう時は表に出てくるのが人間なのだろう。
表も出るということは、本来持っているものなのかも知れないが。
しかし、何事もなければ自分も気が付かずにいたかも知れない。
それが、怖いところ。
最後は犯人も分かるのだが、ああそうだったのかと納得出来るし、ドキドキさせられる展開。
終わり方が良かった。
殺された人間がいるのに良かったはないかも知れないが、やはり最後はきちんと終わりたい。

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