「優等生は探偵に向かない」 ホリー・ジャクソン 創元推理文庫
GOOD GIRL,BAD BLOOD 服部京子・訳
高校生のピップは、友人のコナーから失踪した兄の行方を探してくれと依頼される。
兄のジェイミーは、2週間ほど前から様子がおかしかったらしい。
コナーの希望で、ピップはポッドキャストで調査の進捗を配信し、リスナーから手がかりを集めていく。
関係者へのインタビューやSNSなども丹念に調べることで、少しずつ明らかになっていく、失踪までのジェイミーの行動。
ピップの類い稀な推理が、事件の恐るべき真相を暴きだす。
<文庫本1頁目より>
『自由研究には向かない殺人』の続編。
前作の終わった所から始まる物語。
前回のことから、2度と探偵はしないと思っていたピップだったが、周りの人たちの反応から自分がしなくてはと思い、再び探偵役を引き受ける。
前作の自由研究とはレポートで文章にするのかと思っていたら、配信なのだ。
まずその事に驚き、今回の捜査もネット環境を使ってのことで、使いこなせない自分には半分違う世界のよう。
ネットは便利だが、その怖さも十分に書かれる。
ピップはコナーにコメントは見ないようにと言うが、本人は書かれた事に動揺する。
しかし、たったひとつの記事で誰もがそちらを信じるものだろうか。
ピップの味方になって声を掛ける友達が1人もいないのが不思議。
これではピップはその前からみんなには好かれていない、嫌われ者のようだ。
ここら辺はちょっと偏り過ぎている感じ。
行方不明になったジェイミーが24歳の青年では確かに警察は動かないだろう。
しかし、彼の周りにいた人たちがあまりに心配しないのはちょっと冷たい気がした。
反応したのはピップだけ。
ピップの母親はジェイミーと係っていたのだし、もっとピップを応援してあげたらいいのに。
物語は終わり近くになって思わぬ事実が明らかになって急展開。
これは考えさせられる問題。
しかし、身分を隠したい人物が、なぜ自分から身元が分かるような事をするのだろう。
知られたくないという緊張感が足りないのか、それも不思議。
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