しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ベルカ、吠えないのか?」 古川日出男 

2007年10月03日 | 読書
1943年、日本軍が撤収したキスカ島。
無人の島には4頭の軍用犬、ジャーマンシェパード3頭とアイヌ犬1頭が残された。
捨てられた事実を理解するイヌたち。やがて米軍が上陸して彼らを連れて島を離れる。
それが「イヌによる現代史」の始まりだった。

ソ連が打ち上げた、人類初の人工衛星・スプートニク1号から30日後、スプートニク2号には生物が乗り組んだ。
1957年11月3日、ロシア・ライカ犬のライカは地球を見下ろしていた。
スプートニク2号は燃えて地球に戻る。
しかし、その後の宇宙に行き地球に戻って来た犬がいた。ストレルカとベルカは宇宙から帰ってきた犬だった。

軍用犬として、ドイツや日本で訓練された犬たち。
ジャーマンシェパード、北海道犬(旧称アイヌ犬)。
その子孫たちがどう、生きてきたかの物語。


ロシアマフィアに、チェチェンマフィア、日本のやくざも登場して、殺伐した舞台。少し品のなさがマイナスな感じがする。
戦争利用された犬たちは、同じように、血なまぐさい環境におかれる。
優秀さゆえ、戦わなくてはならない、だから幸せにはなれない。
犬の栄光と生き方を追った物語、という感じだが、栄光ではないよな。
別の生き方をしている犬の方が幸せだろう。
犬の目で見ているような物語だから、あまり感情は入らず、淡々と事実が述べられている感じもあるが、
犬の親子の愛情に深さも垣間見えるが、それも淡々と感じられる。
面白い視点の物語。


ライカの乗ったスプートニク2号は回収され、ライカの焼けた遺骨が残されているというのが、なんとなくよかったなと思える。
実際は打ち上げ直後に犬は死亡したとの話。
<ライカ犬は従来睡眠薬入りの餌により眠らされた後酸素供給を停止して死亡と伝えられてきたが
2002年のロシア側からの情報では熱とストレスにより打ち上げ後数時間で死亡していたとのことである>と。

そういえば、ドイツ兵や将校たちが犬を連れている写真はよく見る。
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