しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「片目の猿」  道尾秀介 

2015年12月01日 | 読書
「片目の猿」  道尾秀介    新潮文庫    

盗聴専門の探偵事務所『ファントム』の三梨幸一郎。
新宿区内にある古い2階建てのアパート「ローズ・フラット」が事務所兼住居で、探偵の師匠も同じアパートに居る。
スタッフはもやしのような帆坂青年ひとり。
今は谷口楽器の社員として同業者の黒井楽器を探っている。
その時に、社員の会話から存在を知った夏川冬絵をスカウトする。
冬絵は最近勢力を広げていた探偵社『四菱エージェンシー』のスタッフだった。
冬絵は、快諾して『ファントム』に移って来る。
黒井楽器に動きがあり、冬絵が黒井ビルに忍び込んだ夜、殺人事件が起こる。
まだその存在は知られていないが、冬絵に容疑が掛かる可能性が出て来る。









全体的に軽いコミカルな雰囲気の物語。
訴えかける物はシリアスな、人間の心持を問うような物。
ちょっと違う人が良く登場する、道尾さんらしい物語とも言える。
違うことを温かい目で見守るような。
その違いを、とても重大なことのように差別的に見る人もいるが。
個性と考える事も出来る。
最後に種明かしがあるように、それまではどこが違うのか気が付かない。
始めの犬の話しから、三梨と冬絵は反対の様子を想像していた。
そんな事で、人物設定の面では最後は驚かされた所もある。
秋絵の存在もそのひとつだ。
こちらは三梨が秋絵の両親に会いに行った場面で何となく気が付く。
物語としては現実味がなく面白味がいまひとつ。
ドタバタしていて落ち着かない。
もう少し、登場人物にスポットが当たったら良かったのに。
あまりにもサラリと語られている。

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