しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「沈黙への三日間」   フランク・シェッツィング 

2011年12月21日 | 読書
「沈黙への三日間」      フランク・シェッツィング     上・下巻   ハヤカワ文庫NV
   LAUTLOS                  北川和代・訳

ターゲットは世界で一番厳重に警備されている。
その人物を指定の時刻に指定の場所で暗殺する。
全世界がその光景を目撃できるよう…ミルコと呼ばれる男の任務は不可能とも思えた。
成功するのに必要なのは奇跡だ。動き出したミルコは、ヤナというコードネームで仕事を請け負う女性暗殺者に依頼する。
報酬は二千五百万ドル。そして完璧な暗殺計画は静かに動き出した。
   <文庫本上巻裏カバーより>

物理学者でベストセラー作家のオコナーが、このタイミングでケルンを訪れていたことが、完璧な計画の歯車を狂わせた。
彼と広報担当のキカは、自分たちでも気づかぬまま、計画の核心に近づいてゆく。
殺人、そして誘拐まで敢行して計画を完遂しようとするミルコとヤナ。
暗殺決行のゼロアワーが容赦なく迫るなか、オコナーの頭脳がフル回転する…
   <文庫本下巻裏カバーより>





裏カバーに書かれていた粗筋は、サスペンス満載で面白そうだったのだが。
それとはちょっと違う物語の展開。
読み進めるのに時間がかかる。
それも、物語に必要な背景なのだが。

テロリストの物語。
アメリカ大統領を暗殺、それを阻止するというサスペンス。
しかし、テロ側からも書かれているので、その背景にも目を向けられる。
コソボ問題。
民族問題は歴史が深すぎて、収拾することはかなり難しい。
昔から近くで暮らしている人たちなのに、民族が違うというのがそんなに障害になるとは。
戦争ではなく、話し合いで解決出来ないのが、人類の未熟なところなのだろう。
戦争でも、解決にはなっていないのだが。

テロも変わって来たそうだ。
前は、狙う相手だけを標的として、関係のない人は巻き込まないようにする。
他の物語でも、家族が犠牲にならないように配慮している様子があった。
それが無差別になったのは、地下鉄サリン事件からだとか。
今は、兎に角大勢の人を巻きこめばいいと言う感じだし、子どもを使っての自爆テロなどと信じられないことも起こっている。

テロは、自分たちの持っている主張を、社会に知らせたいため。
その時の大統領を暗殺しても、それは肩書だから大統領がいなくなることはない。
誰が死んでいなくなっても、世の中の流れが止まることはない。
それでも、何かをしなくてはいけないなら、もっと他の方法はないのだろうか。
暴力は虚しい戦いだ。
それがビジネスになってしまうのも、哀しい。
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