一花一葉  NewTraditonal IKEBANA 

徒然なるままに・・季節の植物に 心を遊ばせて

1604- 実の 一つだに ・・・

2016-04-21 | 生け花
 雨の庭の片隅に、その辺りを明るく照らすように 一重の 山吹が咲いています。
故事にある大田道灌と、山里の貧しい一少女の やりとりを思い出しました。
 雨宿りをした お侍さんにお貸しする蓑 (みの)のひとつも無いほど貧しい生活の中で 「 七重八重 花は咲けども山吹の、実の ( 蓑 ) 一つだに 無きぞ悲しき 」 一枝の山吹を渡して 詫びたと言う話だったと思います。

 少女の教養の深さを感じる話ですが、今の私たちの生活では 蓑にあたる傘は 各家庭に溢れていて 消耗品の様に使い捨てられています。
物の豊かな生活の中、情緒的な感情や 事柄が少ない 今日この頃です。
 物の豊かさと、情緒の豊かさは 反比例するのでしょうか。

 花材 ・一重山吹 ・コデマリ ・オクラレルカ
 花器 ・青磁 壺