初冬の気配を纏い始めた神戸北野坂へ 久しぶりに出かけました。
軽い昼食の後、外国からの観光客で賑わう坂の途中のアンテーク・ショツプで目に留まったのが 小さなテイーカップでした。
受け皿も無く 一つだけポツンと飾り棚の中に・・・
でも私は 不思議な存在感を感じて 手に取って見ると白磁のカップの底には小さなラベルに「神戸九谷」の文字、そしてカップの中には 何か人形の絵がうっすらと浮き上がっています。光にかざして見ると それは日本髪の女性の顔でした。
私の頭の中でビビッと繋がるものがあって、これはきっと江戸末期か明治初期に神戸元町にあった九谷焼売捌き所と言われた 外国向けの輸出品、あるいは神戸在住の外国人向けに九谷で作られた物だと思いました。それは長年私が尊敬する知人の 長谷川紀代さんの曽祖父の手を経て 今私の目の前にある物だと確信しました。
どのような世の中の変遷を見て来たのか 透明感あふれるこの小さなカツプを求めました。
お値段は2500円の3割引きでした。つくづく眺めていると 当時の港の賑わいが聞こえてきそうです。
花材 ・雲竜柳 ・野路きく ・パステルアスタ ・キウイの蔓
花器 。九谷焼 市松紋 花入れ 長谷川紀代作