『将棋2』で、野田クリスタルにモノ申す! マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0と、インドのチャトランガ

2021年05月14日 | 将棋・雑談

 「いわば【将棋2】ですよ」

 深夜のラジオ番組で、そんなことを言ったのは、マヂカルラブリー野田クリスタルさんであった。

 きっかけはM-1優勝後から、各メディアでブイブイ言わしている野田さんが出しているゲームの話題から。

 その名も「スーパー野田ゲーPARTY」。通称「野田ゲー」。

 M-1優勝の原動力となった「つり革」や、かわいい(?)動物を使った「干支レース」など、おもしろそうなゲームが目白押しだが、当ページ的に気になるのは、当然これであろう。

 「将棋2

 いわゆる本将棋をベースにしたものだが(正確にはローマ数字の【Ⅱ】表記)、玉がどれかプレーヤーにもわからないわ、駒が200種類もあるわ、場外にも動かせるわと、かなり横紙破りな内容。

 さっそく、「これは将棋ではない」論争が起こりそうだが、実際、お二人のやられている「オールナイトニッポン0」でも、

 

 野田「これはすごいぞ。なんたって、将棋の続編だからな」

 村上「いや、将棋はドラクエみたいなシリーズものじゃないから」

 野田「その名も【将棋2】。【将棋1】を、よりおもしろくしてるから」

 村上「え? 野田さんは将棋のことを【将棋1】って呼んでるの? いつか、日本将棋連盟に怒られるよ!」

 

 なんてやりとりがあるわけだが、その通り。

 私はこの『将棋2』に、非常なる違和感をおぼえる一人だ。

 指摘したいのは、そもそもの『将棋1』というネーミングのこと。

 たしかに「将棋2」という響きはおもしろく、氏のワードセンスが光っているが、残念なことに「将棋」自体が、そもそも「1」ではない

 将棋というと、日本古来の伝統文化のようであるが、実はわが国オリジナルの遊戯ではなく、世界にはそれ以外にも、チェスをはじめ、中国将棋の象棋シャンチー)や朝鮮将棋のチャンギ。

 またタイのマークルックなど、様々な形の「将棋」が存在する。

 で、実はこれら世界の将棋には、さらなる元ネタというのが存在し、それが将棋の起源とされており、それこそが

 「チャトランガ」。

 古代インドのボードゲームで、を使って盤上で戦うという、まさに「将棋」。

 好戦的な王様に戦争をやめさせるため、ある高僧が「代用品」として制作したという説があるが、真偽のほどは不明。

 2人制と4人制のルールがあるそうで、ペルシャアラビアでは、サイコロを使って遊ぶこともあったとか……。

 ……なんて、こまかいことは増川宏一さん著書の『将棋の起源』(平凡社ライブラリー)などを読んでいただきたいが、ざっくりいえば、

 

 1・インドで生まれたチャトランガが、シルクロードなどを通って、東西に広がった。

 

 2・西へ行ったチームはアラビアペルシャで「シャトランジ」になり、ヨーロッパでは「チェス」に。

 

 3・一方、東方遠征組は、お約束のように中国に渡って「シャンチー」に。

 

 4・その後、朝鮮半島で「チャンギ」。東南アジアでは「マークルック」などになって遊ばれることに。

 

 5・最後に極東の日本が、それをキャッチし「将棋」になった。

 

 つまり、まとめれば将棋自体が「1」ではなく、さかのぼればインドのチャトランガ自体が

 「チャトランガ1

 あるいは、

 

 「初代チャトランガ」

 「ファースト・チャトランガ」

 「無印チャトランガ」

 

 などなど、呼ばれるべきなのだ。

 そこからカウントすれば、西方組は「シャトランジ」が「チャトランガ2 見知らぬ国のトリッパー」。

 「知の象徴」とされるチェスは「チャトランガ3 モーフィー時計の午前零時」ということになる。

 これでいけば、インドから中国に行って成立した「象棋」も「チャトランガ2 恋姫†無双」。

 西と東のどちらが「正統な2か」は議論があるだろうが、ここは東の話にしぼれば日本将棋連盟のホームページによれば、そこから朝鮮半島経由か、あるいは東南アジアから伝えられ「将棋」が生まれた。

 どちらにしても、ワンクッションあるということは、「チャンギ」か「マークルック」が「チャトランガ3 漢江の怪物」あるいは「チャトランガ3 ハヌマーンと仏像泥棒」。

 そして、日本の将棋は「チャトランガ4 武将風雲録」ということになるわけだ。

 以上のようなことを丁寧に見ていけば、野田氏の意見に違和感を感じたことは、容易に想像できるだろう。

 将棋をシリーズ化するなら「将棋1」より、やはりここは「チャトランガ4」と呼称すべきなのである。

 必然、野田氏の作ったゲームは、その続編だから、「チャトランガ5」。

 あるいは「インド将棋5」と、名づけるべきではないか。

 このままでは世界中に散らばる「チャトランガ警察」が黙っていないだろう。

 

 「パクリ疑惑」

 「インド起源の遊戯を、あたかも自国の伝統文化のよう吹聴する歴史修正主義」

 「取った駒を使えるよう勝手に改変するなど、オリジナルにリスペクトがない」

 

 などなど彼らに見つかれば炎上必至であり、野田氏の今後のキャリアにも関わってくるやもしれぬ。

 なので、一刻も早く「将棋2」を「チャトランガ5」あるいは「インド」呼称では、また「国名原語主義警察」に捕まるおそれもあるため、

 「バーラト将棋5

 と改めることをオススメする。

 

 

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