十八世名人アイドル論 コンバットREC的視点による、森内俊之九段と森内チャンネルの魅力

2021年05月04日 | 将棋・雑談

 森内俊之はアイドルである。

 と始めてみると、大半の読者は、

 「はあ? 森内はたしかに人気棋士だけど、ファン層はワーキャーではないっしょ」

 中には、

 「天下の永世名人をつかまえて、そんなチャラチャラしたあつかいとは、森内をバカにしているのか!」

 なんて、おしかりを受けるかもしれないが、これがガチのアイドルヲタによる定義と照らし合わせると、さほどおかしな声でもないのだ。

 それが、音楽家である小西康陽さんの提唱する、

 「アイドルの魅力は、完成されたものの中に見える《ほつれ》」

 「ただ」かわいいとか、ダンスがうまい「だけ」では、アイドルの資格の一部をクリアしているに過ぎない。

 そういう、端から見ているとプラスの要素にくわえて、なにか《ほつれ》がないと、真のアイドルではない。

 たとえば、

 「メチャクチャかわいいのに、メチャクチャ歌が下手」

 とか、

 「活舌が悪い」

 「歩き方が変」

 「私服のセンスが微妙」

 などなどといった、ほつれた部分。わかりやすく言えば

 「つっこみどころ」「スキ」

 これこそが、そのキャラクターの仕上げとなるのだという。

 「ドジっ子」

 など、まさにその最たるであろう。

 私はアイドルにはくわしくないが、なんとなく理解できるところはある。

 ただ、それに対して「それだけかな?」と意義をはさむ人もいて、それこそがライムスター宇多丸さんのラジオ番組などでおなじみの、映像コレクターであるコンバットRECさん。

 RECさんによると、

 

 「小西さんの意見では、アイドルの50パーセントをカバーしているに過ぎない」

 

 なぜ半分なのかと問うならば、

 

 「小西さんは、アイドルに大事なのは《かわいい女の子のほつれ》とおっしゃっているが、《かわいい男の子のほつれ》が抜けているのでは」

 

 そういわれて、私はハタとヒザを打ったのである。

 それこそ、森内俊之九段ではないのか。

 森内俊之といえば、将棋の永世名人であり、タイトル獲得は名人以外にも、竜王や王将など12期

 棋戦優勝も、NHK杯や銀河戦、全日本プロトーナメントなど13勝。

 いわゆる「羽生世代」の一員であり、文句なしといっていい、将棋界の第一人者である。

 そのレジェンド森内こそが、まさに「ほつれたアイドル」ではあるまいか。

 十八世名人の、一体なにがほつれているのかと問うならば、やはりあのYouTubeチャンネルのオープニング。

 「森内俊之の、もりうちィ~チャンネルゥ~」

 あのときの、森内九段の《ほつれ》は、ただごとではない。

 最初に見たときは、衝撃を受けたものだった。

 メチャメチャに不自然。

 でもって、メチャメチャに「かわいい」んである。

 あの十八世名人による、『シベリア超特急』マイク水野のごときセリフ回し。

 「萌え」である。

 もちろんそれは、チャンネルの内容がすばらしいからという土台があってこそで、将棋の解説や、過去の思い出話、ボードゲームで見せる圧倒的な才能とセンス。

 また、アシスタントの鈴木環那女流三段を指導して、連勝街道まで導いたところなど、

 「やっぱ森内って、すごいんやなあ」

 ため息の連続で、ついつい再生ボタンをクリックしてしまうのである。

 そこにあのオープニング。

 このギャップがいい。

 まさにRECさんの言う「アイドル」ではないか。

 RECさんはこの定義から、プロ野球の王貞治さんや、田淵幸一さんも「アイドル」と位置付けている。

 なら、プロ棋士がアイドルでもおかしくないわけで、私はここに堂々と、

 「森内俊之はアイドルである」

 と宣言したい。

 私は他にも、藤森哲也五段の「将棋放浪記」や、中村太地七段の「将棋はじめch」なども見ているが、《ほつれ》という意味では、まだまだ物足りない。

 また、森内俊之九段と多くの名勝負を残した、羽生善治九段や谷川浩司九段も、その自然体な姿からして《ほつれ》がなく、アイドル性に欠ける。

 そもそも将棋界から、一般の世界に飛び出してブレイクした「ひふみん」こと、加藤一二三九段の魅力こそ、

 「神武以来の天才なのに、あんな感じ

 という、メガトン級の《ほつれ》が、あってこそではないか。

 ちなみに、RECさんによると、アイドルにもうひとつ大事なのが、

 「やらされてる感」

 セクハラのような歌詞の歌や、やりたくないバラエティーに出さされたり。

 奇抜な衣装に「売れなかったら解散」のような試練。

 その「プロデューサーをS、アイドルをM」とする嗜虐志向。

 それもまた、アイドルに必要な要素なのだが、残念なことに(?)森内九段は、YouTubeに関しては、結構楽しそうにやっておられるのである。

 むしろ、あのオープニングに盛り上がっているわれわれを見て、実はおもしろがっているのではないか。

 「ここが、絶対ウケると読んでたんですよ。将棋ファンって、わりと簡単なんですね」

 みたいな。

 すべてが、森内俊之の手の平の上。

 そんな邪推をしたくなるくらい、あのチャンネルの森内九段はリラックスしているのだ。

 あれがもし、アシスタントの鈴木環那女流三段が主体で進んで、様々なムチャ振りを、そう、たとえば、

 「森内俊之の【踊ってみた】」

 「現役プロ棋士、熱湯風呂に何分耐えれるか」

 「永世名人、あつあつおでんに挑戦」

 みたいなことをやって、困惑する森内九段の姿が見られれば、

 「完璧なアイドル」

 ということになるはずなのだ。

 その意味では、激辛カレーの企画は悪くなかったが、やはりあのチャンネルは環那さんが、すごくちゃんと仕事をしているのと、

 「森内九段を尊敬しすぎている」

 というところがネックであろう。

 ぜひ次は、バンジージャンプか「吉木りさに怒られたい」あたりに挑戦してほしいものだ。

 なんだか、今回はマジメな将棋ファンに怒られそうなことを書いている気もするが、RECさん視点だとこうなるわけで、論理的に考えれば、私に一切の責任はないことになる。

 森内チャンネルの可能性は、まだまだ伸びしろがあると見るが、いかがであろうか。

 構成作家、マジでやらせてくれへんかなあ。

 

 (佐藤康光アイドル編に続く→こちら

 

 

 ☆おまけ 森内俊之九段のゲームセンスと勝負術が炸裂した動画は→こちら

 ★おまけ 何度聞いても爆笑&納得できる、コンバットRECさんのアイドルソング論は→こちら

 ☆羽生善治を2度倒した、若手時代の森内俊之は→こちら

 

 

 

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