施川ユウキ『バーナード嬢曰く』が好きである。
ということで、前回に続いて
「このマンガに出てきた本を何冊読んだか数えてみよう」
との企画。第7巻の第3回。
★『サバイバー』チャック・パラニューク(未読)
『ファイト・クラブ』でおなじみの人。
一部ボンクラ男子にカルト的人気を誇るが、私はピンとこない。
純文化系なので、「肉体の強さこそが男の生きる証明」みたいな発想がまったくないのだ。
だから、ブルース・リーや『バキ』とかも全然ハマらない。
本とか映画とか好きな文化系の中にも、「強さへの憧れ」がある人と、どうでもいいタイプに分かれるのはおもしろい。
私は典型的な後者。
世界で一番エラい男子って、ドイツ軍の歴代主要戦車の名前とか、全部言えるヤツでしょ?
★『汽車のえほん』『きえた機関車』ウィルバート・オードリー(未読)
「主人公がダメな奴だと、見ている人がストレスを感じて楽しめない」
というと思い出すのが、ケンドーコバヤシさんが『新世紀エヴァンゲリオン』見て、
「オレ、あんなウジウジしたヤツ大嫌いや! 世界滅ぶんやろ? 男やねんから、さっさと乗って戦えよ!」
とかマジで怒ってたこと。
同じ「ジャンプ黄金時代世代」として気持ちはわかるけど、実際に軍隊の基地に連れていかれて、零戦に乗せられて、
「これで鬼畜米英の戦艦と戦ってこいや!」
とか言われたら絶対無理なわけで。
そう考えたら、そのさらに上の無茶振り食らってるシンジ君の反応は百パー正しいとは思うけど、このあたりは時代性が出るのかもね。
★『プロジェクト・ヘイル・メアリー』アンディ・ウィアー(未読)
超オモシロ小説『火星の人』の作者。
自分が好きな本を、自分が嫌いな人がほめてると、イヤなような、それでいて不思議な気分になる。
「あんなヤな奴やのに、これの良さがわかるんやー」
きっと、むこうも似たようなこと感じてるんでしょうね。
そういや中学生のとき、私のことを嫌いなある子(クラスでイケてるタイプが)
「おまえはどうせ、長渕剛の良さがわからんのやろ。そんなしょうもない人間や!」
とか罵倒してきて意味がわからなかったし、まあ実際、そんなに好きではない。
でも、あんとき真顔で
「わかるよ……。すごいわかる」
って応えてたら、どんな反応が返ってきたんだろうとか、ちょっと考えてしまった思い出が。
逆にコーネル・ウールリッチの面白さとかを、むこうに「メッチャわかる……」て言われたとき、こっちはどう感じるのか。
よけいに嫌悪感が強くなるのか、それとも案外仲良くなれたか、どっちなんだろ。
★『マーダーポット・ダイアリー』マーサ・ウェルズ(未読)
本に飽きることは、まあたまにある。
でも、そこで飽きたままだと、
「積読になってるこの子たちは、どうするのよ!」
という気持ちになって、また読み始める。愛というより貧乏性。
★『10月はたそがれの国』レイ・ブラッドベリ(未読)
ブラッドベリは山ほど読んだから、
「ブラッドベリはマニアックじゃない」
と言われたら、たしかにだけど、でも本を読まない人は聞いたこともないだろう。
まあ、そんなもんだ。
「ワハハハハ! おまえ本当に高校生か」
と言いたくなるのは、北村薫先生の「円紫さんと私」シリーズを読んだときいつも。
フランソワ・コッペとか、ふつうの高校生は読まねーって。
それにしても、この中に出てくる女性キャラ、どいつもこいつも、みんなヤな女だぜ。
★『火星に住むつもりかい?』(未読)
★『ゴールデンスランバー』(未読)
★『モダンタイムス』(未読)
★『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎(未読)
4冊もあるのに、しかも伊坂幸太郎は一時期よく読んだのに、既読が1冊もないという。
調べてみたら読んだのは『陽気なギャングが地球を回す』『重力ピエロ』『死神の精度』『終末のフール』『グラスホッパー』『アヒルと鴨のコインロッカー』
どれもおもしろいけど、「語りたい!」って感じにはならないなー。さわやかでオシャレだから?
『重力ピエロ』読んだとき、これは作者「自信あり」なんやろなと思ったもの。
「春が二階から落ちてきた」
なんてフレーズ、「勝算」ないと書けないじゃんねえ。
(続く)
(『バーナード嬢曰く』5巻の感想はこちら)