YouTubeで、テニスの動画を見るのは楽しい。
特にテレビなどではなかなか放送されない、ダブルスや練習風景などが見られるのが、うれしいのだ。
スポーツにはテレビ観戦派と、スタジアムで生観戦派でどっちが楽しいかわかれるもので、私は基本的に寝転んでみられるテレビ(最近はスマホかパソコンも多いけど)がいいんだけど、生で観るのももちろん楽しい。
特にテニスは、スタジアムの大きい野球やサッカーと違って、グランドスタンドコートに出れば、手を伸ばせばさわれるくらい、選手を間近で見られたりもするのがいいものだ。
リラックスした練習風景もいいし、ダブルスだと、思わぬスター選手が目の前で見られることも。
また、サインなどをもらうにも、こちらのほうが近さといい選手の気楽さといい、デカ目のコートよりもゲットしやすい。
フラッとその辺を選手が歩いていたりして、写真や握手をお願いできるチャンスも多いなど、そのフランクさが魅力なのだ。
なので、私はテニスを生で観るなら、センターコートよりもむしろそっちをオススメするのだが、YouTubeであがっている動画などは、まさにそのグランドスタンド目線。
たとえば練習動画だと、こんなのが。
フアン・マルティン・デルポトロとリシャール・ガスケの打ち合い(→こちら)。
これくらい近いと、トッププロの打つストロークの威力が、ビンビンに伝わってきて迫力。
デルポトロのショットはやっぱりすごいなあ、この両手打ちバックが機能しなくなるんだから、ケガってホントにつらい。
「天才」ガスケの片手打ちバックは、やっぱり芸術だとか、そのすごさがダイレクトに味わえるのが病みつきになる。
他にも、ノバク・ジョコビッチ(→こちら)やラファエル・ナダル(→こちら)といったトップの練習風景とか、クレーや芝といった、日本ではなじみのないコートのプレーの動画もうれしい。
芝は跳ねないうえに、すべるという特性がよくわかるし、クレーの固めなボール音も気持ちいい。
あと、トッププロのジュニア時代の練習や試合が見られるのも、昔とくらべて本当に、ありがたくなったもの。
そのころから輝いていたといえば、錦織圭選手。
16歳以下の大会で戦う13歳の錦織圭(→こちら)。撮影しているのは、たぶん米澤徹さん。
スピードのあるサービスにも臆せずリターンし、ムーンボール、ドロップショットからのロビングなど、このころから多彩な「ショットメイカー」だったのがわかる。
フットワークもいいし、これが13歳なんだから、今さらながらスゴイですわな。
もうひとつ、今度は16歳の錦織選手(→こちら)。
フォアハンドを見ると、「あ、錦織や」と、すぐにわかる。
スピーディーで躍動感にあふれ、見ているだけで楽しい動画だ。
果敢にネットを取るが、守りのスライスも打てて、やはりここでもショットは多彩。
タッチショットのキレも相変わらずで、コメント欄に絶賛が並ぶのも納得。
この人がデビュー後すぐトップ100に入っただけでなく、18歳でツアー初優勝を飾り、日本男子テニス界が、何十年も超えられなかった壁を一瞬でクリアしたときには、
「才能というものの残酷さ」
これをヒシヒシと、感じさせられたものだった。
皆が死にものぐるいになって努力し、戦って、どうしても届かないものを、ヒョイと乗り越えてしまう。
まさに、ピーター・シェーファー『アマデウス』の世界。
かつて、21歳で名人を獲得した谷川浩司九段について、芹沢博文九段がこんなことを言った。
谷川はスッスッと歩いて来て、目の前にあった、食べたいと思った蜜柑を食べたら、それが名人位であった。
他の劣れし者は、必死に蜜柑を食べたいと思っていても側にも行けない。
谷川からすれば、そんな簡単なもんじゃない、と反論したくなるかもしれないが、それでもやはり、きっとそういうことなんだろう。