前回(→こちら)の続き。
「おすすめの映画を教えてください」
との問いには、『トイ・ストーリー』『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』といった鉄板作品と並べて、
「ついでに、『シベリア超特急』も合わせて観ておきなさい」
そうアドバイスする私。
といっても、さほど映画に興味のない方からすると、なんじゃらほいと言われるかもしれないが、『シベリア超特急』(略して『シベ超』)は、今はなき映画評論家の水野晴郎先生が「マイク水野」名義で作られたミステリー映画。
昭和初期、日米戦争突入前夜のきな臭い時代を舞台に、シベリア鉄道で起こった殺人事件を「マレーの虎」こと山下陸軍大将が解決するという推理サスペンスだ。
最大の見所は、マイク自らがメガホンを取るだけでなく、主人公山下大将まで演じてしまうという力の入れっぷり。
これまでの映画人生で培った知識と経験を「オマージュ」という形で存分にスクリーンで発揮し、豪華キャストに反戦メッセージと中身の濃さも折り紙付き。さらには、
「このラストは、決して人に教えないでください」
との注釈がつくほどの、クライマックスでのどんでん返しは観る者を呆然とさせる、すさまじさ。
これまで星の数ほど映画を鑑賞してきたが、観終わって「えー」と声を上げてしまったのは、この作品がはじめてかもしれない。それほどの衝撃だった。
なんといっても、作家の岩井志麻子さんが、
「私の人生はシベ超前とシベ超後に分けられる」
と、そのリスペクトを語り、ついには『シベリア超特急2』には出演まで果たすほどの入れこみようなのだ。すごい愛ではないか。
なんてことを力いっぱい解説すると、
「ほう、なかなかおもしろそうじゃないか。なるほど、じゃあその『シベ超』とかいうのも、『道』とか『ニュー・シネマ・パラダイス』なんかに匹敵する名画なんだな」
そのように納得される方もいるかもしれないが、それに関しては全力で答えよう。
「んなわけないやーん(笑)」
ないない。シベ超が名作? 映画ファンとして、片腹痛いとはこのことであろう。
『シベリア超特急』といえば、安い画面の作り、意味不明のシナリオ、失笑もののしょぼい演出、なにより主役であるマイク水野の棒読みセリフなどなど、もう映画において
「ちゃんとした映画にするなら、これだけはやっちゃダメ!」
そんなシーンがこれでもかと詰まった、典型的なスットコ映画なのだ。
初めて観たときは、その感動(逆方向の)のあまり、皆が皆、
「これは、『さよならジュピター』『幻の湖』『北京原人』と並んで、日本バカ映画四天王や!」
日本映画史の新たなる歴史の誕生に胸を熱くしたものであった。
いやあ、これはすごい映画ですわ。その後『デビルマン』という新たなる刺客が現れたり、最近では『進撃の巨人』とかもなかなかだったらしいけど、『シベ超』のインパクトは、それに勝るとも劣らないものがある。
最後のどんでん返しなど、観ていて気が狂いそうになるというか、私もそれなりに人生経験を積んできたつもりだが、
「お、おまえ正気か?」
というアニメチックなセリフを、本当に声に出して言う日が来るとは予想もしなかった。
なんてことを喜々として語っていると、
「おいおいちょっと待て、なんで前途明るい映画好きの若者にそんなものを見せるのだ。もっとまともな映画を紹介したらどうなのか」
と注意されるかもしれないが、私も伊達や酔狂で『シベ超』を薦めているのではない。
これには、映画をより深く愛し、理解してほしいがゆえの、人生の先輩としての深慮遠謀があるのだ。
なぜそうなるかといえば、前回紹介した、彼女に『片腕カンフー対空とぶギロチン』なんて映画を見せて嫌がられているヒラカタ君の経験からきているのであるが、その詳細は次回(→こちら)に。
「おすすめの映画を教えてください」
との問いには、『トイ・ストーリー』『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』といった鉄板作品と並べて、
「ついでに、『シベリア超特急』も合わせて観ておきなさい」
そうアドバイスする私。
といっても、さほど映画に興味のない方からすると、なんじゃらほいと言われるかもしれないが、『シベリア超特急』(略して『シベ超』)は、今はなき映画評論家の水野晴郎先生が「マイク水野」名義で作られたミステリー映画。
昭和初期、日米戦争突入前夜のきな臭い時代を舞台に、シベリア鉄道で起こった殺人事件を「マレーの虎」こと山下陸軍大将が解決するという推理サスペンスだ。
最大の見所は、マイク自らがメガホンを取るだけでなく、主人公山下大将まで演じてしまうという力の入れっぷり。
これまでの映画人生で培った知識と経験を「オマージュ」という形で存分にスクリーンで発揮し、豪華キャストに反戦メッセージと中身の濃さも折り紙付き。さらには、
「このラストは、決して人に教えないでください」
との注釈がつくほどの、クライマックスでのどんでん返しは観る者を呆然とさせる、すさまじさ。
これまで星の数ほど映画を鑑賞してきたが、観終わって「えー」と声を上げてしまったのは、この作品がはじめてかもしれない。それほどの衝撃だった。
なんといっても、作家の岩井志麻子さんが、
「私の人生はシベ超前とシベ超後に分けられる」
と、そのリスペクトを語り、ついには『シベリア超特急2』には出演まで果たすほどの入れこみようなのだ。すごい愛ではないか。
なんてことを力いっぱい解説すると、
「ほう、なかなかおもしろそうじゃないか。なるほど、じゃあその『シベ超』とかいうのも、『道』とか『ニュー・シネマ・パラダイス』なんかに匹敵する名画なんだな」
そのように納得される方もいるかもしれないが、それに関しては全力で答えよう。
「んなわけないやーん(笑)」
ないない。シベ超が名作? 映画ファンとして、片腹痛いとはこのことであろう。
『シベリア超特急』といえば、安い画面の作り、意味不明のシナリオ、失笑もののしょぼい演出、なにより主役であるマイク水野の棒読みセリフなどなど、もう映画において
「ちゃんとした映画にするなら、これだけはやっちゃダメ!」
そんなシーンがこれでもかと詰まった、典型的なスットコ映画なのだ。
初めて観たときは、その感動(逆方向の)のあまり、皆が皆、
「これは、『さよならジュピター』『幻の湖』『北京原人』と並んで、日本バカ映画四天王や!」
日本映画史の新たなる歴史の誕生に胸を熱くしたものであった。
いやあ、これはすごい映画ですわ。その後『デビルマン』という新たなる刺客が現れたり、最近では『進撃の巨人』とかもなかなかだったらしいけど、『シベ超』のインパクトは、それに勝るとも劣らないものがある。
最後のどんでん返しなど、観ていて気が狂いそうになるというか、私もそれなりに人生経験を積んできたつもりだが、
「お、おまえ正気か?」
というアニメチックなセリフを、本当に声に出して言う日が来るとは予想もしなかった。
なんてことを喜々として語っていると、
「おいおいちょっと待て、なんで前途明るい映画好きの若者にそんなものを見せるのだ。もっとまともな映画を紹介したらどうなのか」
と注意されるかもしれないが、私も伊達や酔狂で『シベ超』を薦めているのではない。
これには、映画をより深く愛し、理解してほしいがゆえの、人生の先輩としての深慮遠謀があるのだ。
なぜそうなるかといえば、前回紹介した、彼女に『片腕カンフー対空とぶギロチン』なんて映画を見せて嫌がられているヒラカタ君の経験からきているのであるが、その詳細は次回(→こちら)に。