今回ご紹介するのは「ノルウェイの森(上)」(著:村上春樹)です。
-----内容-----
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。
僕は1969年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。
限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
-----感想-----
村上春樹さんの代表作とも言える、「ノルウェイの森」を読み始めました。
今は下巻を読んでいるところです。
この上巻では冒頭、主人公の「僕」、ワタナベ君が昔を懐かしむところから始まります。
どうやらワタナベ君は学生だった1969年の頃にすごく切ない体験をしたようでした。
そして物語の舞台は、1969年へと遡ります。
長い長い、そして切ない、過去の記憶の物語の始まりです。
この作品では、「我々」という表現がよく出てきます。
我々はこう思った、我々はこちらに向うことにした、というように、「僕達」ではなく「我々」を多用しています。
村上春樹さんの作品では独特な言い回しが出てくることが多いですが、その中でもこれはかなり独特だと思います。
ほかにも、言葉の最後に「本当よ」をつける人が何人かいます。
「○○なのよ、本当よ」といった感じで、これも印象に残りました。
どうやら今回は独特な言い回しがたくさん出てくるようです。
主人公のワタナベ君自体も会話の中で面白い言い回しをしています。
とてもクールなのですが、どこかユーモアセンスを含んでいます。
例を挙げると、
「ねえワタナベ君、私のこと好き?」
「もちろん」
「じゃあ私のおねがいをふたつ聞いてくれる?」
「みっつ聞くよ」
もう一つ例を挙げると、
「べつにかまわないよ。僕は時間のあり余ってる人間だから」
「そんなに余ってるの?」
「僕の時間を少しあげて、その中で君を眠らせてあげたいくらいのものだよ」
こんな感じで、ワタナベ君のユーモアのある会話は他の人と比べても際立っています。
全体的にこの作品はなかなかの「読ませる会話」だなと思います
登場人物それぞれに個性があり、そういった人たちが繰り広げる会話は自然と面白いものになります。
ただ物語にはやはり、どことなく切なさが漂っています。
深い傷を背負っている人もいますし。
物語自体が重いものを含んでいるので、会話の軽妙さでそれを和らげているのかなとも思いました。
今は下巻を読んでいますが、果たして限りない喪失から希望を見出すことが出来るのか、気になるところです。
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-----内容-----
暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。
僕は1969年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。
限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。
-----感想-----
村上春樹さんの代表作とも言える、「ノルウェイの森」を読み始めました。
今は下巻を読んでいるところです。
この上巻では冒頭、主人公の「僕」、ワタナベ君が昔を懐かしむところから始まります。
どうやらワタナベ君は学生だった1969年の頃にすごく切ない体験をしたようでした。
そして物語の舞台は、1969年へと遡ります。
長い長い、そして切ない、過去の記憶の物語の始まりです。
この作品では、「我々」という表現がよく出てきます。
我々はこう思った、我々はこちらに向うことにした、というように、「僕達」ではなく「我々」を多用しています。
村上春樹さんの作品では独特な言い回しが出てくることが多いですが、その中でもこれはかなり独特だと思います。
ほかにも、言葉の最後に「本当よ」をつける人が何人かいます。
「○○なのよ、本当よ」といった感じで、これも印象に残りました。
どうやら今回は独特な言い回しがたくさん出てくるようです。
主人公のワタナベ君自体も会話の中で面白い言い回しをしています。
とてもクールなのですが、どこかユーモアセンスを含んでいます。
例を挙げると、
「ねえワタナベ君、私のこと好き?」
「もちろん」
「じゃあ私のおねがいをふたつ聞いてくれる?」
「みっつ聞くよ」
もう一つ例を挙げると、
「べつにかまわないよ。僕は時間のあり余ってる人間だから」
「そんなに余ってるの?」
「僕の時間を少しあげて、その中で君を眠らせてあげたいくらいのものだよ」
こんな感じで、ワタナベ君のユーモアのある会話は他の人と比べても際立っています。
全体的にこの作品はなかなかの「読ませる会話」だなと思います
登場人物それぞれに個性があり、そういった人たちが繰り広げる会話は自然と面白いものになります。
ただ物語にはやはり、どことなく切なさが漂っています。
深い傷を背負っている人もいますし。
物語自体が重いものを含んでいるので、会話の軽妙さでそれを和らげているのかなとも思いました。
今は下巻を読んでいますが、果たして限りない喪失から希望を見出すことが出来るのか、気になるところです。
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