月曜日にこんな症例が、と消化器科医から報告があった。69歳男性が病院の健診を受けた。これまで当院で受けたことはなく、初めての受診だった。
腹部エコーで肝臓内に多発性の腫瘤を認めた。高エコーの腫瘤で中心部が低エコー(無エコーに近い)に抜けている。転移性肝がんの像だった。
健診には上部消化管内視鏡検査も含まれていたが、異常はなかった。大腸癌健診としては便潜血2日法が含まれていて、2日分とも潜血陽性だった。大腸癌の肝転移が疑われる、というよりほぼ決定といってもいい所見だった。
内科の若い先生が健診の診察に当たる日で、そのまま消化器科の外来へ紹介していた。血液検査では貧血(Hb9.2g/dl・MCV81.4)と肝機能障害(軽度)を認めていた。
検体に項目を追加して、腫瘍マーカーの著明な高値(CEAが640、CA19-9が36068)を呈していた。外来で下部消化管内視鏡検査が予定された。大腸癌の確診をつけて、地域の基幹病院かがんセンターに紹介するそうだ。
体調が悪くて、健診を受ける人がたまにいる。症状があれば、本来は健診ではなく外来受診になる。倦怠感が続くために健診を受けて、空腹時血糖300mg/dl以上・HbA1c15%という人もいた。(そのまま内科外来受診に回されたが、地元の病院を希望して紹介とした)今回の方は特に体調不良を自覚していないらしい。