なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ワーファリンの効きすぎ

2022年02月14日 | Weblog

 1月2日に肺炎で入院した89歳女性は、他院の循環器科に通院していた。

 陳旧性心筋梗塞(下壁・前壁)の既往があり、心ペースメーカー植え込み術後(完全房室ブロック)だった。心房細動があり、徐脈になるとペースメーカーリズムが出る。

 肺炎自体は抗菌薬投与で軽快した。輸液500ml2本では輸液過多になり、胸水が増加した。利尿薬追加で脱水傾向になり、食欲が低下した。何とか調整して落ち着いた。血圧は100前後で降圧薬は入っていない。

 ワーファリン内服でPT-INR1.74で、1週間後に再検しても同程度だったので、他院処方を継続していた。やっと落ち着いて退院(入所していた施設へ戻る)を予定していた。

 退院の前日(月曜日)に右大腿部を痛がっていると報告があった。診察すると確かに右大腿部が腫脹している。リハビリもしていたので、骨折も疑ったが、もともと両側大腿骨近位骨折の術後だった。X線でも大腿骨に異常がなかった。

 血液検査で貧血があり(Hb10g/dl台から5.9g/dlに低下)、PT<5%(PT-INR測定不可)だった。色見からみてもよくわからないが、右大腿部に皮下出血(筋肉内出血?)しているようだ。

 腎機能は血清クレアチニン0.9mg/dl(eGFR40)で、以前とかわらなかった。急にワーファリンが効きすぎた原因がわからなかった。ビタミンK(ケイツー)を静注して、輸血を行いことにした。

 必要最小限にするつもりだったが、輸血2単位を入れた後も同程度で、結局6単位の輸血になった。PT=INRは翌日には1.63まで戻ったが、その後もビタミンKを入れていたが、まだ同程度で横ばいになっている。

 右大腿部の腫脹は軽快している。普通は皮下出血が目立つようになると思うが、四肢の皮下出血はあまり目立たない。ワーファリンを内服しているので、1週間おきにPT-INRを確認しておきべきだった、と言われればその通りで、油断したことになる。

 PT-INR治療域の低めを狙ってワーファリン少量から再開か、DOACごく少量(リクシアナ15mg/日)の方がいいのか悩む。抗凝固療法は中止するという選択はないか。

 

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