火曜日に眼科医から連絡がきた。(当院は眼科常勤医は不在で、大学病院からバイト)右眼瞼浮腫で外来を受診した81歳男性の頭部MRIの結果で相談したいという。
「神経内科医に相談しては」と答えたが、その後また連絡がきた。お昼過ぎで、その日神経内科医はコロナワクチンの問診で出かけるから診れないといわれたそうだ。
どんな画像かと、MRIの結果を見た。左小脳に嚢胞性腫瘤があり、その周囲に浮腫を伴っていた。きれいな嚢胞ではなく、壁の一部に不整があるようだ。
患者さんは地域の基幹病院脳神経内科への紹介を希望した。問い合わせると、新患の予約は2週間後になるといわれたそうだ。(病変としては脳外科の問題だが)
当院神経内科に新患日は水曜日だが、祝日にあたる。木曜日は大学病院から脳神経内科医が来るので、そこで診てもらってはと勧めた。
右眼瞼浮腫とは直接関係ないので、その点では偶発腫瘍incidentalomaになる(実際は神経症状があった)。たぶん、眼科医が心配するような緊急搬送の対象ではない。
火曜日の午後に放射線科医が読影に来るが、がんセンターの先生だった。読影レポートは「左小脳腫瘍・星細胞腫疑い」。
患者さんは木曜日に眼科から神経内科の外来に紹介された。神経所見をとると、左側の運動失調が軽度にあると診断された。大学病院脳外科の外来予約を取っていた。
教科書的には、星細胞類似の腫瘍細胞からなり、星細胞腫・退形成性星細胞腫・膠芽腫の順に組織学的な悪性度が高くなり、悪性度の低い星細胞腫であっても完治を期待することは難しいとある。
ところで、当院では診療科名を「神経内科」にしているが、この名称は患者さんが誤解しやすい(神経科、心療内科と間違う)。地域の基幹病院では、「脳神経内科」を一時「神経内科」にしたが、その後また「脳神経内科」に戻していた。