昨年の9月に、糖尿病で通院している85歳女性を、不安定狭心症疑いで地域の基幹病院循環器内科に紹介した。
9月9日から胸部不快感が出没して、市内のクリニック(循環器科医)を受診していた。ミオコールスプレーが処方されて、使用すると症状は軽快していた。
9月13日に当院を受診した。症状がない時の心電図は完全右脚ブロックのみで、心原性酵素の上昇もなかった。専門医に紹介になるが、患者さんの希望で先方の病院に紹介した。翌9月14日に外来を受診して、入院精査の予約となった。
10月5日に心臓カテーテル検査が行われた。左冠動脈#6に99%の高度狭窄を認めて、薬剤溶出性ステントが留置された。右冠動脈にもびまん性に動脈硬化を認めたが、治療介入は不要と判定されたとある。
退院して外来フォローをしていたが、たびたび胸痛があった。ステント留置後の冠攣縮と判断されて、血管拡張薬を追加して軽減した。今後は貴院で治療継続を、と当院に戻された。
右脚ブロックは虚血性変化があれば、描出されるはずだが、少なくとも症状がない時の心電図でST-T変化はなかった。先方でも外来受診後、心カテは20日後に施行していた。よく心筋梗塞を来さなかったものだと思う。フォシーガ5mgやエンレスト100㎎0.5錠が出ていて、まさに今どきの処方になっていた。
この患者さんの息子さんと娘さんも糖尿病で当方の外来に通院している。息子さんは当院唯一の好酸球性胃腸炎の患者さんだ。娘さんは入院した時に末梢静脈からの点滴ができず、やむなく中心静脈カテーテルを挿入したことがある(点滴は末梢用)。