水曜日の当直の時に、職員(看護助手さん)が92歳の父親を連れてきた。
1年前から嘔気がして食欲がなくなったり、軽快したりを繰り返している。かかりつけ医は心臓外科医のクリニックで、内視鏡検査はそこではしていなかった。年齢的に負担が大きいのではと言われていたが、娘さんとしては一度受けさせたいと思っていたそうだ。(体重減少などはない)
その話だと夜間の救急外来に連れてくる症状でもないようだが、その日は午前7時ごろから嘔気が出現して、ずっと続いているという。胸痛や腹痛はなかった。腹部は平坦・軟で圧痛はない。
CKDもあるので単純CTになるが、ざっと消化管悪性腫瘍のスクリーニングにはなるので、CTで確認することにした。腹部には異常がない(消化管はCTで見える範囲ではとなる)。
右葉間胸水が軽度にあるが、昨年発熱で受診した時に撮られた画像と比較すると葉間胸水はむしろ減っている(通常の胸水貯留はない)。
心電図をとると、V2-3でSTが2mmくらい上昇している。2年前の心電図にはなかった変化だった。慢性心不全として利尿薬の処方を受けているので、血液検査ではBNPやトロポニンも提出していた。両者とも軽度ではあるが上昇していた。
急性心筋梗塞疑いとして循環器内科で診てもらう必要がある。92歳だが一人暮らしをしていてADLは自立していた。難聴はあるが、認知症はない。
搬送の可能性が出て、発熱はないが、あらかじめコロナの検査(抗原定性試験)をしておいた。(結果は陰性)地域の基幹病院にまず連絡して、受け入れができなければ、いつもお願いしている心臓血管センターのある病院に連絡することにした。
前者に連絡すると、受け入れ可能ということで、ありがたく救急搬送した。