なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

化膿性脊椎炎?

2022年03月22日 | Weblog

 先週水曜日の午後11時過ぎに腰痛の74歳男性が救急搬入された。

 もともと頸椎症の術後で、左半身の筋力低下がある(左上肢は筋肉量が低下)。自宅内をつたい歩きするくらいのADLだった。

 2~3日前から腰痛があったらしいが、その日に急激に腰痛(右臀部痛も)が悪化して、動けなくなった。救急隊から搬入依頼があった時は、椎間板ヘルニアかと思った。

 当院の整形外科診療はちょっとあやしいが、地域の基幹病院に連絡して搬入不可だったというので、とりあえず来てもらった。

 37.2℃の微熱があり、一応発熱外来扱いで新型コロナの抗原定性検査をしてから、通常の検査をした。ストレッチャーからの移動でも痛みで声を上げていた。

 夜間は頭部以外MRI検査はできないので、CTで検討を付けることにした。お騒ぎでCT台に移動して撮影する時に、地震が来た。最初の揺れで終わりかと思ったら、その後にさらに大きな揺れがきた。

 立っているのもちょっと難しいくらいの揺れだった。体格のいい看護師さん(当直師長)が放射線部の女性技師といっしょにCT台の患者さんを押さえていた。

 停電になってしまい、病院内は自家発電に切り替わったが、検査はできなかった。その日は(午前0時を過ぎて翌日扱いになったが)鎮痛薬で経過をみて、翌日に検査ができるようになってたら行うことにした。腎機能もわからないので、アセリオ注1000mg点滴静注を入れた。

 

 翌朝午前5時ごろに停電は回復していた。放射線科と検査部で器械の点検をしてから検査開始となった。まだ腰痛があり、同じ姿勢をとり続けるのが困難だった。それでもかろうじて読影できそうな画像ができた。

 夜間に38℃台の発熱があり、血液検査で白血球8500・CRP8.0と炎症反応の上昇を認めた。 腰椎のL2-4の前部に高信号を認めた。読影レポートとしては化膿性脊椎炎疑いだった。血液培養2セットを提出した。胸腹部CTで確認したが、発熱・炎症反応上昇を説明するような病変は指摘できない。 

 翌日の金曜日に、患者さんはトイレまでつたい歩きで行っていた。腰痛はどうかと訊くと、まったく痛くないという。もう帰りたいともいう。ADLとしてはふだんと同じくらいらしい。

 処方はカロナール(500mg)3錠分3・セレコキシブ(100mg)2錠分2を出していた。抗菌薬はまだ投与していない。

 夕方に家族に来てもらった。3連休になるが、連休明けに地域の基幹病院整形外科の外来予約を取ったことを説明した。患者さんはいっしょに自宅に戻ると主張したが、家族の説得で入院継続となった。

 抗菌薬は使用せず、経過をみていたが、(アセトアミノフェン+NSAIDs投与で)発熱はなかった。腰痛の悪化はなかった。化膿性脊椎炎がこんなに簡単に軽快するのは考えにくい。といって、何かといわれるとわからない。

 予定通り、整形外科外来を受診してもらって(当院は退院)、判断は専門医にお任せするしかない。

 

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