早朝救急外来に25歳男性が搬入された。当直医(大学病院からのバイトの外科医)が対応して、引き継ぎの外科医から内科にコンサルトされた。
特に既往歴はない。午前2時ごろに右胸部重苦感が出現して、両下肢のしびれと脱力を自覚した。30分くらいで症状が治まって、そのまま寝たそうだ。すると午前4時ごろにまた右胸部重苦感が出現して、両下肢のしびれと脱力もあった。胸部症状は軽快したが、しびれと脱力は続いていた。横臥した姿勢で、両下肢がわずかにしか持ち上げられない。転換性障害を疑うような患者さんではない(個人の印象)。
心電図は異常がなかった。胸痛と対麻痺とくれば、急性大動脈解離で脊髄動脈を巻き込んだことが想起されるが、25歳であるだろうか。胸部X線(臥位)で大動脈弓の陰影が濃い?ようにも見えるが、縦隔の拡大はない。
今日は神経内科の外来があり、大学病院の若い先生が来ていた。病状を伝えて診察を依頼して、まずは大動脈病変の確認ということで胸腹部造影CTを施行したが、異常はなかった。
神経内科医の診察を見せてもらった。脳神経症状はなかった。対麻痺は右側が強い。両上肢の違和感も訴えたが、明らかな脱力はない。腱反射の亢進とは言えないが、両側に病的反射を認めた。脊髄梗塞でしょうか、ということだった。脊髄硬膜下(外)血腫なども考えられるが、睡眠中の発症で外傷はない。
地域の基幹病院に紹介することになり、神経内科医が電話してくれた。話ぶりから向こうの神経内科医は親しい先生だったようだ。脊髄のMRIを見てみたかったが、救急搬送が先なので、お任せすることにした。どのような診断になるのだろうか。
日曜日に入院した3名の高齢女性と、大学病院から転院してきた高齢女性の計4名の新規入院の指示出しがあり、午前中から忙しかった。明日も転院予定があり、下請け業務は盛業だ。