なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

サナダムシ

2019年12月21日 | Weblog

 先週の火曜日にタイ人の40歳男性が救急外来を受診した。隣の市にある工場に来ている方だった(通訳の人も付いてきていた)。肛門から幅広い布のようなものが出てきて、驚いたそうだ。

 午後5時過ぎに受診したので、当直の外科医(大学からのバイトで日中の診療から当直までのセット)が担当した。患者さんは肛門の診察は拒否していた。携帯電話で写真をとってきていて、写真だけの診断になる。まあ条虫でいいのだろう。

 院内の薬剤を調べたが、条虫に使用する薬はなかった。調剤薬局にも置いていないだろうから、その日には処方できない。

 11月と12月初めに生の牛肉や豚肉をタイ国内で食べたそうだ。教科書にある通り、肛門から虫が出て、びっくりしての受診だった。緊急性はない。

 翌日保健所にも訊いてみて対応を決めることになった。保健所に連絡すると、そちらで対応して下さいというだけだった。薬は保険適応がないので自費診療扱いになる。当院で処方する時は、取り寄せになる。

 使用した経験はないので、熱帯病の治療薬を所有している病院(感染症科医がいる)に行ってもらう方が(たぶん薬も置いているので)早いかもしれない。

 訊いておいた連絡先(通訳の人)に連絡すると、本人は今月中にタイに戻るので、自国に戻ってから治療を受けると言っていたそうだ。タイの病院や薬局にはたぶん普通に薬を置いているのだろう。

 

 

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DNARとNPPV

2019年12月20日 | Weblog

 内科病棟から一番遠い位置にある循環器科・神経内科の病棟に、誤嚥性肺炎の患者さんが入院している。肺炎が軽快して、喀痰吸引の回数が少なっていた。認知症があり、経口摂取は無理と判断されて、後は胃瘻造設か高カロリー輸液にするかという状態だった。

 昨日その患者さんを診に行くと、その日はホスト病院の医療センターに戻っているはずの内科専攻医が病棟に来ていた(週1回は医療センターに戻ることになっている)。

 心不全の94歳女性の病状が悪化して血圧が70台に低下したそうだ。将来は循環器科志望の先生なので、救急外来で診た心不全の患者さんを、循環器科の先生と相談しながら診ていたのだった。(医局の机も循環器科医の隣にしていて、内科所属だが循環器科といっしょに診療できるようにしていた。)

 内服はできないので、ラシックス注・パンプ注・ドブタミン注で治療していたが、血圧が低下したのでハンプは中止していた。ドブタミンも限界に近い。

 病状悪化時はDNARの方針になっていたが、心不全増悪でNPPVを装着していた。どこまで治療するのかと訊いてみると、気管挿管と心臓マッサージ(胸骨圧迫)はしないが、NPPVまではすることにしていたという。

 自分としてはこの年齢(超高齢者)でDNARであればNPPVもしないと思うが、DNARとNPPVはどうなんだろうか。

 今日患者さんの血圧は90mmHg台になっていた。乏尿で意識は3ケタだが。

 

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中脳病変

2019年12月19日 | Weblog

 先週の火曜日に65歳男性が内科外来を受診した。既往歴は6年前に僧房弁置換術を受けていて、その頃から血清クレアチニン2mg/dl程度の慢性腎臓病(CKD)を指摘されていた。

 それぞれ当院の心臓血管外科外来(大学病院から)、腎臓内科外来(大学病院から)に通院している。イライラしているというか、落ち着かない印象があった。意識障害はなく、会話は成り立つ(と思われた)。

 前日に車を運転して高速道路を走行していた時に、隣の車線の車と、最初はミラーを擦った程度の接触事故で、その次は相手の軽自動車が回転して壊れるくらいの事故を起こしたという。いずれも逃げてしまい、その後自分で警察に出頭したそうだ。身柄を確保されないのが不思議な気がしたが、病院に行くようにと言われただけだった。

 炎症反応が軽度に上昇して、筋原性酵素(骨格筋)の上昇があった。打撲しているはずだが、どこも痛くはないという。最近の血清クレアチニンは3mg/dl台まで上昇していたが、それが5mg/dl台に悪化していた。感染症は認められなかった。

 上肢下肢の細かな振戦を認めたが、明らかな筋力低下はなかった(甲状腺機能は正常域)。何だかわからないが、前日からあまり食べていないというので、入院して点滴で経過をみることにした。

 入院してからも落ち着かず、大声を出したこともあり、病棟看護師さんが不安がった。体格がいいので、本気で暴力を振るわれたら大変だった。本人に訊くと、自分でもよくわからないが、焦った感じになるという。対面して話をすると、理解はされていた。が、認知力低下がある印象を受けた。試しにリハビリスタッフに長谷川式をしてもらうと、11点だった。

 受診時に頭部CT、胸腹部CTを行ったが、新規の異常はなかった。入院後に頭部MRIを行うと、拡散強調画像で中脳に高信号を認めた。これは何を意味するのか。

 

 脳神経内科の新患外来(地域の基幹病院にも行っている先生)に診てもらった。仮診断をしてあとは調べてくるということだったが、今日両側赤核症候群では、と当院の神経内科医にメールが来た。当院の先生も病名が思いつかないという。認知力低下は説明がつくのだろうか。

 一度は脳神経内科のそろった専門施設で診てもらう必要がある。地域の基幹病院脳神経内科の先生に連絡すると、今は満床で受けられないが、週明けになれば転院で診てもらえることになった。ありがたい。

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)は脳神経内科志望なので、訊いてみた。脳幹部の血流支配からこういう形の脳梗塞もあるのではという意見だった。当方には難しすぎる症例だ。

 

 

 

 

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アルコール性肝硬変、肝性脳症

2019年12月18日 | Weblog

 先週、山間の町の診療所から54歳男性が紹介されてきた。ふらつきがあって動けなくなり、食事摂取も低下しているという。アルコール性肝硬変・肝性脳症がある。

 もともとアルコール多飲があったが、昨年末から失業したのをきっかけにさらに飲酒量が増加していた。アルコール性肝硬変・肝性脳症に感染症を併発して、瀕死の状態で地域の基幹病院消化器内科に救急搬入された。

 治療により何とか回復したが、(アルコール性)運動失調・下肢のしびれもあり、うまく歩行できなかった。2月にリハビリ目的で当院に転院した。1か月ちょっとの入院で歩行できるようになって自宅退院した。

 母親と二人暮らしで、当院や基幹病院への通院ができないので(車で送ってくれる人がいない)、地元の町の診療所で治療継続としていた。下肢の浮腫があり、診療所で利尿薬を追加されたのをきっかけに(もともとのスピロノラクトンにループ利尿薬を追加)、肝性脳症が悪化して、1か月後に再入院した。

 腹水貯留はないので、下肢の浮腫は許容して、ループ利尿薬を休止した。肝性脳症が軽快~増悪を繰り返したが、1か月後に退院した。その後は紹介もなかったので、患者さんのことはほとんど忘れていた。

 そして今回の入院だが、約8か月入院に至らずに過ごしたので(退院時はすぐの再入院もやむなしと判断していた)、よくもった方だろう。今回も利尿薬が再処方されていた(利尿薬追加h控える様には伝えていた)。ラシックス40mg・ダイアート30mgの2種類が入っていた。

 悪化の原因が利尿薬の追加と判断された。腹水はないころから、まずラシックスを中止して、ダイアートも中止したばかりだった。昨夜から病室内をふらふらと歩きまわり、意識消失に陥った。バイタルは安定していたが、朝に診た時は目を開けなかった。点滴とアミノ酸製剤を開始した。

 昼前には意識が戻って(アミノ酸製剤が500ml中200mlくらい入ったところ)、昼食を半分食べた。夕方にはベット上にすわっていた。軽度の腎障害があるので、それに注意してアミノ酸製剤の点滴を継続するとにした。

 炎症反応は陰性で、肝機能障害はほとんど目立たない。血清総ビリルビンは5mg/dl程度、血清アンモニアは150程度で、この患者さんとしては普段の値だった。アンモニアの値だけで肝性脳症の判断はできないので(他の指標は測定できない)、肝性脳症の悪化ではいいのだろう。

 入院する時は母親と姉妹が来ていて、とにかく病院で預かって下さいと頼まれた。内服薬は、リーバクト・モニラック(ジェネリック)・リフキシマが入っていて、これで限界だろう。自分で酒を買いに行けないので、飲酒はしていない。

 通常アルコール性だと、禁酒による軽快が期待されるが、閾値を越えたところまで悪化すると、改善はしないようだ。

 

 

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DNARはどこまでDNAR

2019年12月17日 | Weblog

 S状結腸癌・多発肝転移の84歳女性が入院していた。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当していた。大腸内視鏡検査について消化器科医と相談したが、両側胸水貯留もあり、緩和ケアのみの治療方針になるのでしなくもいいのではと言われていた。

 家族は、患者さん本人には病名を伝えないでほしいと希望していた。病状悪化時はDNARの方針となった。この時期だとできれば年末はいったん退院させたいということになるが、食事摂取量も少なく、退院は難しそうだった。

 それでも一度は自宅退院にという話が出ていたが、日曜日に急変して亡くなってしまった。日直で出ていた若い先生(別の内科専攻医)が対応して、主治医も駆けつけた。

 予想しない急変ともいえるが、DNARの方針だったので、心肺蘇生術はしなかったそうだ。心肺蘇生を行えば、胸骨・肋骨はベコベコになって無残なことになってしまう。効果はなく、穏やかに看取りたいという家族の希望に沿わないことになる。

 月曜日に若い先生に、心電図モニターを見せられた。癌の末期でこんな波形になるでしょうかと訊かれた。洞調律から調律不明の心電図になり、その後に心室細動と判断される波形になっていた。

 癌終末期だと、しだいに徐脈になっていって、PEAのようになるという印象がある。癌終末期と関係なく突発した致死的不整脈であれば、心肺蘇生(除細動)の適応になるだろう。

 癌終末期でのDNARは癌の進行による病状の時ものだから、まだ月の単位で予後が見込める時は、たとえば突然の心筋梗塞発症から心室細動になれば、心肺蘇生・除細動をすることになるか。しかし全身状態が相当に悪化していればどうだろうか。

 どの程度全身状態が悪化・衰弱した時からがすべてDNARの扱いになるのか(ならないのか)、判断は難しいと答えた。

 

 たまたま今年は地域医療研修の内科専攻医がふたり当院に来ている。本当はひとりずつ交代だが、ちょっと事情があった。3月でふたりともいなくなってしまうので、元の内科2名体制に戻ってしまう。

 病院の赤字問題や方針への不満で、他科の医師数人が退職する予定で、病院の中がゴタゴタしている(医療スタッフの不安が渦巻いている)。先週は病院管理者に呼ばれて、何とかするから辞めないようにと言われた。でも、まったくあてはないらしい。もう一人の内科医もそのうち呼んで話をするから、とも言われた。

 そのもう一人に、「そのうち呼ばれるよ」と伝えると、「人がいないのに辞めないでもないでしょう」と、もっともなことを言われた。

 

 

 

 

 

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悪化した肺炎

2019年12月16日 | Weblog

 肺炎の87歳男性が内科クリニックの紹介で入院していた。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当していた。スルバシリン(ABPC/SBT)で治療を開始していたが、1週間経過しても改善がなく、先週相談された。

 画像をみると、入院時から両側肺に浸潤影を認めた。背側はべたっとした浸潤影で前側には斑状影に集簇が散在している。高齢だが、ADLは自立していて、派手に誤嚥するような人ではないそうだ。何だか陰影に違和感(奇異な感じ)がしたが、細菌性以外とも言い難い。

 白血球7100・CRP11.1で、肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原は陰性だった。喀痰培養で有意な菌は検出されなかった。

 月曜日は地域の基幹病院呼吸器内科の先生が週1で当院に来ている。相談してもらうと、抗菌薬はゾシン(PIPC/TAZ)にして非定型狙いでアジスロマイシンを追加するようにという指示だった。

 そして1週間経過して、むしろ陰影が増加して、酸素飽和度も低下してきた。胸部CTを再検すると、両側の浸潤影が広がっていた。白血球15300・CRP11.1という結果だった。(このCRPが横ばいというのもなんか変だ)

 このまま悪化すると人工呼吸管理を要する。もともとのADLが悪い高齢者では当院で診ることもあるが、この患者さんはできるだけの治療をしたい方だった。今日も来ていた同じ先生に相談して、転院で入院治療してもらうことにした。普通の肺炎ではない気がするが、よくわからない。

 

 12月14日・15日と日本アレルギー学会主催の総合アレルギー講習会がパシフィコ横浜であり、出席していた。第6回になっているので、5年前から始まったもののようだ。基礎的なコースと専門的なコースに分かれていて、興味のあることを聴くことができる。当方はもちろん基礎的なコースだけを選んで聴いてきた。

 専門医が単位をとるために来ているようだが、むしろ非専門医向きの講習会だ。研修医・専攻医にお勧め。分厚いテキスト(スライドのコピー)が配布されるが、ランションセミナー(教育セミナーという名称)のスライドも入っているのは珍しい。

 土日をつぶして何をやっているのか、という気持ちもあるけど。これで今年の出張費は使い切った(参加費分2万円は自費)。

 

 

 

 

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クロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)

2019年12月15日 | Weblog

 木曜日は感染管理の院内勉強会があった。講師は、聖マリアンナ医科大学の感染症学講座の國島広之教授。

 國島先生は「クロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)診療ガイドライン」作成の委員長なので、一番詳しい先生にお願いしたことになる。國島先生は東北大学に11年いらして(総合診療・感染症講座)、当時当院にも来られたこともある。

 國島先生は、DJの赤坂泰彦さんに顔も声も似ていて、明快な講演をされる。感染症の学会でも、國島先生の講演があれば、必ず聴くようにしていた(ランションセミナーなど)。

 院内勉強会は医局からの出席はほとんどなく、主に看護師さん(技師さんや事務職員も参加するが)聴くので、話が面白い講師が好ましい。

 CDIの世界的な趨勢や、ガイドラインに沿った検査・治療の話をされた。便の性状の表現は、人によって異なるので、Bristol score5以上の下痢検体を提出することが大事(そうでないと検査室で受け取らないと)。Bristol scoreのコピーをラミネート加工にして、各病棟に表示することにした。

 CDの検査は抗原(GDH)とトキシン(AとB)を検査する。GDH陰性・トキシン陰性ではCDIは否定的。GDHは感度が高いが、臨床的にCDIが疑わしければ、培養などさらに検査することもある。

 GDH陽性・トキシン陽性ではCDIと確診できる。GDH陽性・トキシン陰性では、トキシン産生株かトキシン非産生株か区別できない。その倍はCDトキシン毒素遺伝子検査であるNAAT検査を行う。トキシン産生であればCDIで、トキシン非産生であればCDIは否定的になる。

 CDIの治療は、非重症ではメトロニダゾール、重症ではバンコマイシンを使用して、再発ではバンコマイシンあるいはフィダキソマイシンンを使用する。予防薬はプロバイオティクス(ミヤBM)。

 GDH陽性・トキシン陰性だと、当院ではCD培養を行って、コロニーのトキシン検査をしていた。結果は約3日で出る。NAAT検査は外注になるが、翌日には結果が来るそうだ。自前で検査器械を購入するのは現状では難しい。フィダキソマイシンは使用したことがないが、CDIは再発しやすく、当院でも時々再発例があるので、今後は使用を考える。

 

 

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経口摂取は難しいか

2019年12月14日 | Weblog

 日曜日の当直は外科医(大学病院からのバイト)だった。その日は内科当番で、患者さんを入院させたいという連絡が来た。

 当院の神経内科外来に通院している76歳男性が救急搬入されていた。1時間前から痰がからんで呼吸困難になった、と救急要請していた。救急隊が喀痰吸引をしながら搬入した。

 38.1℃の発熱があり、酸素2L/分で酸素飽和度は保たれていた。搬入後は看護師さんが喀痰吸引を繰り返した。認知症で生活全般に排除を要する状態だった。通院も大変だろう。

 血液検査では白血球10100・CRP1.0と急性期のパターンだった。胸部X線・CTで肺炎はないので帰宅にしようとしたが、家族(奥さん)が入院を希望されるので入院をお願いします、ということだった。抗菌薬と点滴の入力をお願いして、入院にしてもらった。肺炎はあるはずだ。

 

 翌日の月曜日に胸部CTを確認すると、両側(特に左肺背側)に淡く斑状影が散在している。これは広がってくると予想された。入院後も3日間高熱が続いた。CRP31.3と上昇した。胸部X線・CTを再検すると、両側下肺野背側に明らかな浸潤影が広がっていた。

 その後、しだいに吸引する喀痰が黄色から白色透明になってきて解熱した。6日めの金曜日には白血球7600・CRP16.3と軽軽してきた。

 週明けまで肺炎の治療を継続して、嚥下訓練を開始するが、経口摂取は難しいかもしれない。経口摂取が難しければ、家族と相談してだが、胃瘻造設だろう。   

 金曜日に看護師さんから「薬疹です」と連絡が来たが(使用しているのはスルバシリンABPC/SBT)、臀部・陰股部がオムツの形に発赤・腫脹がある、オムツかぶれ(皮膚炎)だった。

 

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総胆管結石・急性胆管炎

2019年12月13日 | Weblog

 水曜日は外科医(女性医師)が当直だった。81歳男性がホテルから救急搬入された。ホテルのある町に住んでいるらしいが、入浴するために?ホテルを利用しているそうだ。銭湯のような大きな風呂場を備えたホテルだった。

 なんでも午後3時ごろから何度か入浴を繰り返していた。午後7時ごろに、具合が悪そうだお客さんがいると、他のお客さんからホテル従業員に連絡がいって、救急要請となった。地域の基幹病院のすぐ近くのホテルだったが、満床で受け入れができず、当院に搬入された。

 39℃の高熱があり、白血球13300・CRP0.7と急性期の炎症反応上昇を認め、AST467・ALT168・ALP2176・γ-GTP900・総ビリルビン2.4と胆道系酵素有意の肝機能障害を認めた。腹部CTで総胆管末端に結石を認めた。

 

通常夜間のMRIは頭部のみ行うことになっているが、MRCPも施行されていた。確かに総胆管末端に結石が嵌頓している(女性医師が技師さんに頼み込んだようだ)。

 総胆管結石・急性胆管炎なので当院では胆膵内視鏡ができないので対応できない。血圧は保たれていたので、一晩当院で治療することになった。

 要するに、急性胆管炎で悪寒戦慄があり、それを治そうとして入浴を繰り返していたらしい。発熱と繰り返した入浴により、ふらふらになってしまったという経緯だった。

 翌日の木曜になって地域の基幹病院消化器内科に連絡すると、幸いに受け入れてくれて、消化器内科に救急搬送となった。最近は、満床と受け入れ可能を繰り返しているようだ。病状が落ち着いた患者さんを、当方や療養型病床を持つ病院がせっせと下請けしているが、患者数が多くて間に合わないのだろう。

 

 

 

 

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わからない筋炎?

2019年12月12日 | Weblog

 12月3日の夕方に、87歳男性が通院している内科医院の紹介で内科を受診した。高熱があるが、肺炎はなく、原因がわからないということだった。

 2日前の12月1日夜間に、高熱と下肢の脱力で当院の救急外来を受診していた。当直は外科医(大学病院からのバイト)で、インフルエンザ迅速試験をして(陰性)、解熱薬処方で帰宅としていた。

 上気道症状はない。受診した時には微熱になっていた。診察しても特に有意な所見はなかった。胸腹部CTでみても、異常は指摘できなかった。白血球15900・CRP26.6と高値だった。

 CK1953・AST117・LDH329と筋原性酵素の上昇と、Dダイマー25.3と凝固異常があった。上腕と大腿の筋肉痛があるようだが、確定しがたい(難聴+認知力低下)。

 尿路感染症や胆道感染症など肺炎以外の感染症も否定的だった。今年洞不全症候群で当院循環器科で心臓ペースメーカー植え込み術を受けていた。それもまず、AAIで入れて、ペーシング不全でVVIに入れ直している。感染性心内膜炎疑いで血液培養を提出した。

 発作性心房細動もあったらしいが、洞調律に戻っていたので、抗凝固薬は心房細動が頻発・持続する時に開始とされていた。今回は頻脈性心房細動が続いていた。循環器科と相談して、軽度に腎障害(腎前性?)もあることから、ヘパリン持続点滴(5000単位/日)で経過をみることになった。

 抗菌薬(セフトリアキソン)も投与していたが、血液培養が陰性で、ゆっくりだが全体的に改善してきたので、7日投与で中止した。腎機能の改善でヘパリン持続点滴からDOAC内服(リクシアナ30mg/日)に変更した。

 今日の検査結果は、白血球10100・CRP5.0、CKとASTは正常域でLDH251(ほぼ正常域)だった。Dダイマーは12.1とまだ高い。膠原病の検査は陰性だった。

 この時期なので、リハビリを継続して年末に退院できるのが目標になる。抗菌薬が効いたわけでもないので、自然経過をみて軽快してきたことになる。

 この病態はいったい何なのだろうか。筋炎といっていいかどうかもわからない。

 

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