マシュー・ボーンの「ロミオとジュリエット」が映画となって日本全国で上映されています!
ちょうど1年前にワールド・プレミアで、この時に渡英していた私はプリマスで追いついて見られました。その時の記事はこちら。
今読んでみたら、マキューシオの恋人を間違えてました。というのは日本版パンフレットにシェイクスピア研究者でもある北村紗衣先生が寄稿していて、マキューシオとバルサザーがカップルだとの指摘がありました。私にはバルサザーとベンヴォリオの区別がつかなかったです^^;
それともう1箇所の間違いは、学園長かと思ったおばさんは牧師でした。映画だと首元の白いカラーがすぐに見えたのですが、生で見た時は分かりませんでした。
では、舞台と映画、両方見た感想です。
実は、パンフレットの写真のように、キャストが違うので純粋に媒体による違いは語れません。
でも、ひとりだけ共通の配役があり、それがマキューシオのベン・ブラウンです!マキューシオは、全体に暗くてシリアスなトーンが立ち込めるこの物語の中でちょっと華やかなキャラで、ちょっと「トーマの心臓」のオスカーみたいなかっこよさがあると私は思ってるんですが、この作品でもスコットランドのキルトに白いヒラヒラブラウス姿を見せてくれて目の保養なんですよ!
私は2階席から見たのですが、モブでは必ずマキューシオに目が行ってしまうし、オペラグラスでキラキラのアップも度々堪能できたんですが、映画では彼の存在感が半分以下に感じて残念です。やはり主役ではないしモブシーンでは彼だけをカメラが追いかけるわけには行かず他のダンサーも移さなくてはならないですし。このことで勉強になったのは、たとえ2階席でもやはり生の舞台は映画よりも観れるなら観るに限る、ということです。
さて映画ではロミオがパリス・フィッツパトリック、ジュリエットがコーデリア・ブライスウェイトという写真左の方ですが、映画に選んだということはこのカップルがマシュー・ボーンとしては打ち出したいイメージなんでしょう。写真右のブロンドの二人に比べて髪の色だけでなくキャラも濃いような?・・・特にジュリエットがこんなパンクな赤い髪というのは珍しい。
というのは、この演目は若いカップルが主役であり若者の抑圧とエネルギーを表現するべく、イギリスの地方公演では各地で10代のダンサーをオーディションして学園の仲間役に配したり、たしかスタッフにもあえて若い人を起用する試みをしているんです。
それでパリスは本作の前の「シンデレラ」天使役でニュー・アドヴェンチャーズのデヴューしたばかりの期待の新星だし、コーデリアも同じく前作「赤い靴」のヴィクトリアが初めての主役というニューフェイスという組み合わせで新鮮味を強調したのでしょう。と言いつつ、このジュリエットの小学生みたいなハーフアップの髪型はマシュー・ボーンの美意識としてどうなんでしょうか。。。ロミオの童顔に合わせてジュリエットを若く見せる演出だったのかな。
そのロミオのパリスくん本当に少年のような顔立ちと四肢が長くて細くて役にぴったりでした。白いパンツ(下着の)がぴったりなお坊ちゃんなのに、ジュリエットと踊るときにはそこはやはりバレエのパ・ド・ドゥなのでリフトもこなすのは当たり前なんですが、彼が細いので彼に持ち上げられるジュリエットが本当に体重がないみたいに見えました。
コーデリアは今年3月に「赤い靴」で見たばかりなんですが、私はそっちでの彼女の方がもっと好きです。というのは彼女も線の細いダンサーなんですけど、このジュリエットの衣装と髪型では彼女の華奢な魅力が見えにくかったので。多分赤い靴はトゥで踊るけどジュリエットはトゥシューズを履かないから身長が低くなってしまうせいでしょうか。せめてドレスの素材がもっと薄かったらよかったのに。
ダンスパーティーでの出会いからふたりきりの踊りまで、本当にいい振り付けです。また見たいんだけど、物語はハードなので心のスタミナが・・・シェイクスピアの四大悲劇なんだから仕方ないですね。