スコット・ヒックス監督の優しい映画「幸せのレシピ」
キャシャリン・セダ=ジョーンズ演じる、完璧主義のフレンチシェフのカレンと、アーロン・エッカート演じる陽気なイタリアン・スーシェフ ニック。
それにアビゲイル・プレスリン演じる母親を亡くしたばかりの9歳の女の子ゾーイ。この三人が綾なすオシャレな物語だ。
観終わった感想は、ディズニーの「レミーのおいしいレストラン」に似ているなあ・・・かな。
だが、そこはやはりアニメーションと人間が演じたものとの違い。説得力があり、お洒落だった。
完璧主義者のカレンが、突然雇われたニックと姉の死によってやむなく預かることになったゾーイとの生活で、徐々に彼女の心を開いていく。
カレンが自分は完ぺきなんだと主張する場面が、非常にヒステリックで面白い。
レアステーキのできが気にいらない客の注文に対して、生肉をでっかい調理用フォークにさして運びテーブルに突き刺す場面は余りの出来事に大笑いしてしまう。どの場面でも澱みなくなくレシピを語る姿に、オーナーがセラピーを薦める説得力があった。
母親を亡くしたばかりで心を閉ざすゾーイに、カレンが凝った料理を作り食べてもらえず困り果てていたら、ニックがするするとゾーイに近づき、皿いっぱいに作ったパスタをゾーイがほおばり食べる様子は「おいしそう!」と思った。
はっきりとフレームいっぱいに登場する料理は何品かしかないが、場面場面で小道具として登場する料理が美しい。
また、才能豊かなシェフ役の二人の動きが見事だった。役者さんて「そういう風に見せる」「そういう風に感じさせる」仕事だけれど、なかなかだと思った。
凝りに凝った映画ではなく、終わり方もハッピーエンドで番狂わせもなしだが、こういう映画ってほっとする。