吉本興業の芸人“ロザン”は、高学歴コンビで有名だ。
特に京大を出た宇治原史規はクイズ番組を総なめにしているのではないか・・・。その回答する姿を見ると「やっぱりなあ」「流石だなあ」と感じるものがある。この本は、どちらかというと目立たない方のロザン 相方の菅広文が宇治原とのエピソードを出会いから書いたものだ。
私は、こういうタレントさんが書いたものをあまり読まない。
その人が好きならばいいのだが、やはり“読み物”として持って帰って読みたいと思うほど魅力のあるものに出会ってこなかったからだと思う。この本に出会ったころ、テレビで宇治原の凄さに目を見張っていた。「京大芸人」もどんなことが書いてあるのかと手に取ったまでで、買うつもりはさらさらなかったから、その場でぱらぱらとめくって斜め読みした。
面白かった。
何より「高性能勉強ロボ」とあだ名され、京大に現役で合格した偏差値72の怪物 宇治原史規。かなり行動にも発言にも風変わりなものがあったようだ。このたまらないほど自分がみじめに思えるかもしれない相手と、対等に付き合いを続けられた相方の菅広文、なかなかなものだ。すでに中学時代「神童」と呼ばれた宇治原となぜ普通に付き合えたのか、初めの方に書いてある。菅は親の都合で中学時代に転校を経験している。その時「勉強では叶わない」と悟り、勉強に対して何のコンプレックスが無かったという。勉強ができなかったから、勉強以外で勝負するしかないと考えていたから、化け物のような宇治原に臆することは何もなかったと書いている。
これはすごいよ!いい友人だったんだなあと思った。
面白くてついついページをめくっていた。先を読みたくて買い物に出るたびに本屋に立ち寄り、立ち読みを重ね、読破した。
この本を読んだおかげで、ロザンが身近なものになった。芸人になるために京大に入ったやつ。そんな誰もが考えないことを、大真面目に実現したやつ。芸人では大きな花はまだ咲いていないのかもしれないけれど、なんかすごいやつらじゃないか。いつか、もっともっとなんかやってくれるかもしれないと思いだした。
本屋では1400円が出せなかったがブックオフで半値がついているのを見つけ、もう一度読もうとその時は買ってしまった。
良い編集者が付いたのかもしれないし、ゴーストライターが手直ししたのかもしれないが、
この本は「菅広文」という書き手がいなければ生まれなかったと思う。何より、実在の「宇治原史規」がモデルだから説得力がある。
タレント本、バカにしたものではないと認識した一冊です。