HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

コットン&水玉は秋物第一弾でいけるか?

2012-07-13 12:42:12 | Weblog
 いよいよ 7月13日から三越伊勢丹他、2週間後ろ倒しした企業、店舗がセールに突入する。今回の問題はいろんなアパレル関係者、FB諸兄が意見を述べられているので、もうこれ以上語ることでもないだろう。すでにセールに入っている店舗もどこが好調で、どこが不調だったが、セール売上げの報告を見るまでは何とも言えない。

 むしろ、アパレル業界は、晩夏企画や秋物第一弾をどんな商品で迎え撃つかに話題が移っている。こちらの方が各社とも頭を悩めているところだ。すでに企画は終わり、投入を待つばかりのところや、ギリギリまで様子見のところ。また、バイヤーの意見を聞いてから、クイックで企画生産に入るところも少くなくないだろう。
 業界のクリエイティブワークに携わる端くれとして、写真のような商品を提案してみたい。あえて断っておくが、この場を借りて卸営業しようなんて魂胆も、色気も一切ない。秋物アイデアの一つとしてご紹介したいだけである。

 お客さんがシーズンの変化をどこで感じるか。特に秋は「色」だ。今よりシーズン企画のメリハリがはっきりしていたデザイナーブランド全盛期。夏のクリアランスセールはダラダラと行なわず、遅くても9月1日からはウィンドウや店頭は秋一色になった。
 これについては暖冬化が進む今、賛否もあるが、少なくとも前倒しのシーズン提案で、先物買いのファン客を捉え、まずは売上げと荒利を確保したのである。まあ、冷房がきいた店内で、梳毛のニットやウールビエラのシャツを着ていたのは、今考えるとずいぶん無理もあるが、雑誌メディアもそれを求めていたから、一蓮托生なのは間違いない。

 通常、秋色は紺、エンジ、茶、モスグリーン、グレー、そして黒が定番だ。最近はヤングを中心に中間色やグレイッシュトーンも一般化してきたが、素材がチープだとなんかもやもやした色合いになって、店頭のVMDが締まらない。
 そこで考えたのが「ドット」、いわゆる水玉模様である。水玉なんか今時珍しくも何ともないが、残暑厳しい9月の頭に茶や黒を着る方がもっと暑苦しい。かといって、ファッションに敏感なお客さんの心理は、「秋らしい色合いに変えたい」はずなのである。
 ベタっとした茶や黒なら夏物の方が好まれるだろうが、黒地に白のドットならホワイトスペースの分、「ベタ」の暑苦しさを多少は緩和できる。この辺はファッションというより、グラフィッカルな感性だ。

 当然、カラーとしての暑苦しさが緩和できる分、生地は秋物で十分いけると思う。ここから素材手配の難しさがあるが、今回は「コットンサージ」に注目してみた。この生地は本来、無地が多いのだが、最近は先染めも出て来ているので、使い勝手が良い。ただ、残暑が残る中で発汗作用や通気性を考えると、30番手ほどの綿糸がギリギリ。個人的に「シャキッとしないと嫌」なので、こしを優先して生地を選んだ。
 また、コットン特有の一度来た後クタッとなるのを避けるために、生地は若干ポリウレタン系の「スパンデックス」が混紡されたものにした。スパンデックスはスピード社の水着などスポーツウエアにも多く使われている弾性繊維。伸縮性に優れ、混紡率が少なくても特性を失わない。今回はストレッチというより、生地の安定性を重視している。

 デザインはこの夏のトレンドだったショーツと、シガレットというか、トレアドル(闘牛士が穿くようなシルエットのボトム)のパンツ、そしてドレスだ。 ショーツはこちらだけシルク素材にして柔らかさと高級感を持たせた。ドレッシー路線でトップスとの組み合わせ次第で、落ち着いた着こなしを狙いたい。「かわいい」って形容詞も残しながら、モードの匂いを感じさせるミューズ御用達のアイテムということだ。
 シガレットパンツは、柄物になるとトップスの関係で遊ぶのが難しくなる。お客さんにはそこを敢えてチャレンジしてほしい。「トレアドルパンツ」なんかの名称を流行らしてもいいかと思う。プレスとの仕掛け次第でヒットの予感は十分ありかもしれない。

 ドレスが一番むずかしい。フィットさせるほどに身体のラインが強調されるし、プロポーションのごまかしが利かない。黒が痩せて見える幻想はまだまだ残るだろうが、ドットになると膨張しそうだとの消費者心理も根強い。
 ただ、ずっとコンサバエレガンスにブレずにきただけに、虚飾を排したミニマルドレスにはこだわりたかった。だからポルカドットという柄で精一杯遊んでみただけ。カラダにフィットするので、ごまかしは利かない分、新たに挑戦したい人向けのトレンド提案である。プレーンなドレスは夜会服に限らず、デイリーでもスタイリッシュに着こなしてほしいものだ。レザーやボレロとの組み合わせも、着る人本人次第である。

 以上、秋物第一弾の勝手なプレゼンテーションである。第二弾も企画中でもうじきサンプルが上がってくる。今年の秋商戦の行方も予断を許せない。
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