HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

杏のスタイリストは通販利用。

2008-04-14 19:43:18 | Weblog
 モデルの杏が4月14日に出演した「徹子の部屋」で着ていた衣装。オレンジからイエローのグラデーションで絞り染めした「Tシャツドレス」だ。番組をご覧になった方々の中には、興味を持った人もいると思う。身長が180cm近い杏だけに、長い脚を伸ばしてちょこんと椅子に腰掛ける姿をTシャツドレスが一層ひきたてて見せた。
 実はこの衣装の出所が仏の通販なのだ。伊・グッチの親会社にPPR(ピノープランタン)グループという企業がある。ここの傘下でカタログ・ネット販売の「レッドキャッツ」が企画する衣料品カタログ「ラ・ルドゥート」。Tシャツドレスはこの通販カタログの08年春夏版に掲載されたオリジナルブランド「ラ・ルドゥート クリエーション」のひとつである。
 ラ・ルドゥートは仏国内では800万世帯が利用し、国内レディスプレタポルテの販売第1位、カタログとネット販売でも、それぞれトップの座を占めている。06年にはスペイン、ポルトガル、ノルウェー、イタリアにも進出。同年7月からはロシアでも販売を開始した。
 もちろん、日本や韓国でも本国の仏や各国のサイトを利用すれば、手軽にショッピングができる。衣装の価格は14.90ユーロ(2368.35円、4月14日のレートで1ユーロ=158.95円)。ただ、海外通販だから16.39%の税金と20%の送料、そして5ユーロの戻し税を加えて、合計15.32ユーロ。日本円で約2440円になる。ちなみにこのネット通販では一人1回に付き、3点まで購入できる。
 そこで衣装の話だが、一般に女優やタレントがテレビに出演する場合、本人専属のスタイリストか、番組のスタイリストが衣装を選ぶ。モデルの場合はアパレルメーカーなどとの契約があるし、テレビ番組になるとスポンサーとの関係から、CMで競合するブランドやメーカーのものは使えない。
 徹子の部屋は収録番組だから、その辺は事前に十分準備できたはず。杏の場合、海外コレクションに主演しているとはいえ、まだまだ新人クラスのモデル。個人でスタイリストを雇う余裕などないだろうから、この日の衣装は事務所か、個人的に仲のいいスタイリストが準備したはず。番組終了時に衣装提供のスーパーが出なかったので、番組専属のスタイリストが準備したものではないことだけは確かだ。
 杏はスーパーモデルクラスのプロポーションだけに、流行のゆるナチュワンピではもたない。かといってクールなキャリアファッションでも、主婦層を対象とした昼間の番組には不釣り合いだ。インターネットや携帯メールが発達した時代、国内ブランドのチープな衣装なんて選んだひにゃ、「あの子、日頃は安っぽい格好してるんだ」と書き込みされかねない。
 この辺がモデルの衣装選びの難しいところだ。言い換えれば、スタイリストの腕の見せ所ということになる。だから、このスタイリストがあまり商品が知られていない仏の通販に走ったかどうかは定かでないが、ラ・ルドゥートには日本のブランドにはないカラーリングやアイテムが豊富に揃っている。
 いかにもオシャレなフランス人が好みそうな着回しが利く商品で、ブランドに走る日本人の感覚とは明らかに異なる。逆に衣装を着る相手が杏だから、着こなせた部分はあるだろう。おまけにカタログ通販で値段が非常に安い、ギャラの安いスタイリストでも十分買い取れる範囲内だ。
 テレビを見た視聴者が杏が着ていた衣装が2500円しないと気づくのは、ラ・ルドゥートを知らない限りまずないはずである。スタイリストにとってはずいぶん嫌みな解説になってしまったが、私が言いたいのは衣装選びもグルーバル化せざるを得なくなっているということ。視聴者からテレ朝に衣装の問い合わせがあれば、「多少の語学力が必要ですが、インターネットで気軽に買えます。値段は日本円で2500円しません」と教えてあげてほしい。…続く。
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