
連続短編4作からなり、最終編ハロー、エンデバーでこれが繋がってくる。
前作同様、駒子の日常に起こった小さな謎が、短大生である駒子の学生生活や交友関係の日常を描きながら書かれている。
文章で絵を書くように、読み手に場面がまざまざと浮かぶ。それだけではなく構成や面白い物語を考える才能をすごいな!と思う。
2作とも駒子が体験したことを小説にし、それに手紙を添えて瀬尾さんに読んでもらう。そして駒子が疑問に思ったことを瀬尾さんが解き明かす。
さらに今回は謎の手紙が3通届いていて、その手紙がワタシにはとても意味が分からず、何かわからないけど引っかかったまま読み進めていくと、最後の章で判明するが、各章に深くかかわっていた人からの手紙だった。
そう、短編というよりそれぞれに名前が付いているが、4章からなる長編小説と言っても良い流れがある。
ここに、気に入った言葉を書き留めておいても問題ないでしょうかネ??
*油彩画集を見て美大の学生のセリフ「いかにもって感じの風景ばっかしじゃん?きれいな風景を、見たまんまの形で切り取りたいんだったら、カメラを使えばいいのよ。・・・・ようするに絵葉書なのよ、どれもこれも」
*私がいるこの世界はすべて、物語の中の虚構に過ぎないのではないか?私が体験する出来事はすべて物語の中の1シーンであり、口にする言葉はみんな、薄い紙の上に印刷されたセリフに過ぎないのではないか?私や私の周りにいる人たちは皆、物語の登場人物たる役目を担わされていて、結末を知らされていない物語の進行に従い、日々、日常を繰り返しているのではないだろうか?
*あなたが男性ならば、自分を愛する女性から「魔法を見せて」と望まれていることを忘れてはならない。そして、あなたが女性だったなら、愛する男性の魔法を信じて欲しい。by有栖川有栖