初めて宮尾登美子の本を読んだ
とても読みやすい文章で、上下2巻の大作だけれども、次々と読み進めてしまう^^;
作者の自伝小説だから、事実体験したことであり、興味深い内容だった
終戦間近い1945年(昭和20年)3月30日、夫の赴任先である満州に出発
生後2カ月にもならない娘を背負って、主人公の綾子は希望に胸膨らませて・・・
四国は高知県でも空襲警報が頻繁で、満州は空襲がないということだけでも、本土から逃げ出したいという気持ちを持っていた
満州東北部の新京まで2日以上かかり、飲馬河(いんばほう)の駅に着く
ここで開拓団一行と別れ、明かりもないところを歩いて居住地に入るが、ここで一緒に来た上司の教員家族と共同生活となる
何もない荒野
黄砂が吹き荒れる時期の苦労
そして終戦、ソ連兵のこと、現地人(満人)との立場の逆転(ファンゴール)などなど。。。。話に聞いている敗戦直後の満州にいる日本人のたいへんな状況・・・・・・
神国日本は負けるはずはない!と強く信じていた当時の人たち
それからは過酷な難民生活!まさに難民@@
下巻の最後[付]に作者が言っているのが、地獄の底を這いすりまわるような生活
ふるさと高知を出てからちょうど1年半後の1946年(昭和21年)9月21日、引き揚げ船で佐世保港に着いた
BSで放送された映画、『硫黄島からの手紙』を観たばかりだった
先の戦争でたいへんな思いをした、一般庶民の戦地での過酷なつらい経験!
見たり聞いたりするのも辛い!!
幸い、綾子は様々な危機にあいながら、それを免れることができた
(だからこのような自伝小説が書けた訳でもある)
様々な苦労・体験・心の傷を負った人は、それを話すことも辛く、何も言わずに忘れようとした人も多いのではないか?