文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

何度も何度も繰り返して読まれるべき文章②

2011年07月09日 18時51分08秒 | 日記
Newsweek 7月6日号より

ビョルン・ロンボルグ(統計学者)(筆者はコペンハーゲン環境評価研究所所長で
、『環境危機をあおってはいけないー地球環境のホントの実態の著者) 


…前章続き。

一方で余暇の時間は増えている。大半の先進国で年間労働時間は19世紀末から大幅に減少し、約半分になった。特に過去30年間ほどで仕事量と家事労働が軽減され、男性も女性も長い余暇を楽しめるようになった。

何度も何度も繰り返して読まれるべき言葉。

2011年07月09日 18時40分58秒 | 日記
Newsweek 7月6日号より

ビョルン・ロンボルグ(統計学者)(筆者はコペンハーゲン環境評価研究所所長で、『環境危機をあおってはいけないー地球環境のホントの実態』の著者) 

…前略。

きれいな水と衛生的な生活が手に入るようになり、人々の健康状態と収入も改善した。国連食糧農業機関(FAO)によれば、1950年には50%以上だった栄養不良の人口も、今日では16%まで減っている。

…後略。

今、TBSの「報道特集」を観ているのだが…。

2011年07月09日 18時04分36秒 | 日記
今、TBSの報道特集を観ているのだが、前述した、首相審議官で、30年来の付き合いだと言う、下村が
インタビューに答えているのである。

あの海江田大臣が辞意表明を為した夜に、阿呆と会った下村は、彼のノートに、「無私」、という言葉を見つけた、等と、…これで東大出か!…呆れかえる事を言っていた。

日本中の殆ど全ての人が、その反対である、顔、態度、行状に、はらわたが煮えくりかえるほど、怒っている事すら、全く、分かっていないのである。

しかも、それは本当になのである。芥川は、彼を初めて見たのだが、懐かしい言葉を思い出した…「専門馬鹿」と言う言葉である。彼は、この言葉の生き字引だった。

原子力工学者 京都大学助教授 小出裕章氏が語る…週刊文春7月14日号より

2011年07月09日 17時11分12秒 | 日記
文中黒字化は芥川。

…前略。

火力と水力で間に合います、と私は言っているわけで、

…中略。

-先生のその指摘は、何のデータに基づいているのですか?
「政府の統計局のデータです(笑)」

…中略。

-地球上から一切の原子力発電がなくなっても、人類に必要な電力は賄えますか? 

「そもそも埋蔵量が少ないウランに生活を託すこと自体が愚かだということです。世界中で使っている電力を全部原子力だけでまかなおうとしたら、ウランはあと十五年、せいぜい二十年ももちません。でも、今、世界で原子力はほとんどやっていないので、『あと百年はもつ』とか言っているわけです。

『石油や石炭は将来なくなるから、未来は原子力だ』と、たぶん皆さんはそう思っている。でも、ウランは石油に比べて数分の一、石炭に比べると数十分の一しかないんですよ。

石炭の究極埋蔵量を現在のエネルギー消費量で考えれば、八百年分あるんです。天然ガスもどんどん発掘されてきて、たぶん石炭に匹敵するくらいある。

要するに、この先、千年という時間の間、化石燃料はあるんです」


…中略。

「今の技術だけでやろうとすると太陽光発電でも環境破壊が進んでしまうだろうから、なんとか環境破壊をしないで済む太陽エネルギーの利用方法を考える時だと思います」

…後略。

開かれた建築で新しい世界へ(2)…朝日新聞7月9日b3面より

2011年07月09日 16時55分57秒 | 日記
建築家 西沢 立衛さん  文・中島耕太郎 
文中黒字化は芥川。

前章からの続き

…前略。

時代の価値観を

ー使って楽しい、と。
使うということは、利便性ではなく、快楽的な問題なのです。
「使いやすい住宅」より、「使いたくなる住宅」を考えたい。「使うことのすばらしさ」は、「生きることのすごさ」でもあって、それを考えていくと現代建築の魅力にたどり着くような気がします。

建築には、現代人の生き方、価値観がどうしても現れます。いつの時代も、その時代の人間の生や価値観というものから人々は建築をつくってきました。僕らの時代もそうです。

-建物が開放的であることや柔らかい光の入り方などは縁側や障子を思い起こさせて、海外では「日本的だ」という評価もあるそうですね。
自分では特に意識していないのですが、世界に出ると言われます。「シンプルだ」「カジュアルだ」ともよく言われますね。

-「開放性」というのは一貫したテーマですね。
開かれていて、多様な関係が生まれるということを意識しています。建築をつくると環境ができる。多様な関係を許容するような開かれた環境をつくりたい。

-大小様々な箱を円で囲んだ金沢21世紀美術館(石川県)もあれば、水滴のような形状の豊島美術館(香川県)もあり、過去の創造を乗り越えていく姿勢にすごみを感じます。
同じ人間がつくっているので、どこか一貫したものはあると思います。ただ、いま思いつく建築を超えていきたいという思いはいつもあります。

…後略。

開かれた建築で新しい世界へ(1)…朝日新聞7月9日b1面より

2011年07月09日 16時36分32秒 | 日記
建築家 西沢 立衛さん(45歳)  文・中島耕太郎

文中黒字化は芥川。

東京・西蒲田の住宅地にある森山邸(2005年完成)は代表作の一つだ。約300平方メートルの敷地に計10個の直方体が不規則に置かれている。うち四つは施主の住居、残りは5世帯分の賃貸住宅。独立して庭にぽつんとあるのは施主用の浴室だ。「集合住宅」とはおよそ思えない。

「建物をバラバラにして配置した時に、これまでの集合住宅にはなかったものが現れたように感じた」と言う。路地に対して大きく窓を開き、小さな庭を介して近隣と緩くつながる。人や街、風や光を感じる暮らしが生まれた。

青森県の十和田市現代美術館(08年)の設計でも展示ごとに棟を分けた。高屋昌幸館長は「『さまよう感じ』との感想も聞く。アートに出合う驚き、喜びがある」。人口6万5千人余の都市で昨年度は約17万人を集めた。

師でもある妹島和世さん(54)と「SANAA(サナア)」という設計ユニットを組み、世界にも舞台を求める。オランダの劇場、ニューヨークの美術館、スイスの大学施設。フランスが誇る「ルーブル美術館」の分館の設計もコンペで勝ち取った。

昨年は「(作品が)独特かつ感情を揺さぶる、などとして、建築界のノーベル賞と称される「フリツカー賞」を受けた。「開かれた建築」が一貫した創作のキーワードだ。「人と人、建物、環境がいろんな関係を持ちうる、そういう場をつくりたい」。

そうしてできた建築は、時に「民主的」と評される。美術館でも美の殿堂としてそびえ立つのではなく、光が差し込んで、子どもも楽しめるーそんな風景が生まれている。


建築評論家の五十嵐太郎・東北大大学院教授は「森山邸や十和田市現代美術館では、20世紀に建築家が共有した形式である直方体を用いながらも、まったく新しい空間を生み出している」と評価する。


「海外での評価が高いのは、普遍性を獲得しているから」
創造を生み出すのは、徹底して考え抜く姿勢だ。森山邸の設計にあたっても、住宅としては「異常」とされる659もの試案を作り、2年かけて検討した。

環境、生活、建物の大きさ、配置、庭、窓、社会、人……。「当然」にとらわれず、すべてをゼロから再考し、膨大な図面と立体模型によって粘り強く確かめていく。連日連夜、オフはない。

…続く。

ブラジル経済 ペダル重く…日経新聞7月9日6面より

2011年07月09日 16時17分28秒 | 日記
「通貨戦争」の悪影響続く

ブラジル経済は自転車に似ている。動き続ける限りはうまくいく。この10年はそれが容易だった。商品価格の高騰が輸出品の価格を押し上げ、潤沢な信用供与が経済の拡大を支えてきた。しかしここに来て突然、ペダルが重くなる。

「国際通貨戦争」(マンテガ・ブラジル財務相)が依然、猛威を振るい、悪影響を垂れ流す。西側の超低金利政策がブラジルなど急成長する新興国市場を資金で満たし、現地の通貨高をあおる。
  
ブラジル通貨レアルの実効為替レートは2006年比で4割も上昇した(インフレ調整後)。それ以降、輸入はほぼ倍増したが、輸出はたかだか5%しか増えなかった。

経常収支の赤字が爆発的に膨らまないのは、ひとえに商品価格の高止まりのおかげだが、そんな好況が続く保証はない。潤沢な資金流人は国内の信用拡大ももたらしたが、家計の可処分所得の約4分の1が借金返済に充てられるなど、消費者は相当な無理を強いられている。

これは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の危機がぼっ発する以前の米家計の水準すら上回る。これ以上の拡大は実質所得の拡大を伴わない限り不可能だ。

ブラジル経済の自転車が通貨戦争の塹壕(ざんごう)にドスンと落ち込む危険はここにある。国民所得が上昇すれば需要が膨らみインフレも加速する。インフレ抑制には金利引き上げが不可欠だが、利上げは海外からさらなる資金を呼び込みレアルの為替レートを一層押し上げる。

輸入が増えて国内産業の衰退を導き、輸出競争力も打撃を受ける。経常収支の赤字がさらに膨らむため、信用拡大を安全に持続するには賃金抑制が不可欠となる。

経済という自転車を動かし続ける第1の方策は為替レートの引き下げだが、同国は部分的な資本流入規制と大規模な為替介入をすでに試みていずれも失敗に終わった。

それに代わる方策は、歳出の無駄を削り内需を冷やすことだ。ブラジルには財政の赤字路線ではなく黒字路線こそ求められるが、歳出削減法案の議会通過は至難の業だ。

第3の選択肢は原材料部門への増税だ。いずれにせよ容易な解決策など存在しない。経済政策で勝る資源大国の南米チリやオーストラリアですら苦しんでいる。しかもブラジルは経済規模で両国をはるかにしのぐ故に抱える問題も特別に巨大だ。

ブラジル経済という自転車は、停止の恐れこそまだないものの、明らかにぐらつき始めている。
(8日付)=英フィナンシャル・タイムズ特約

三井造船 韓国勢と受注競争…日経新聞7月9日9面より

2011年07月09日 15時32分14秒 | 日記
LNG船 燃費効率3割高く

三井造船は燃費効率を3割高めた液化天然ガス(LNG)船を開発した。重油だけでなく気化した輸送中の天然ガスも燃料として使える新型ディーゼルエンジンを搭載。

世界首位の現代重工業など韓国勢のLNG船に比べても2割ほど燃費性能が高い。東日本大震災後にLNG船の需要は高まっており、環境負荷低減船 (エコシップ)の投入で韓国勢を追走する。

LNG船はりーマン・ショツク以降商談が冷え込んでいたが、最近は再び活発化している。震災後に燃料としてのLNGが注目されたためで、三井造船も年内をメドに日本船主からの受注を狙う。

LNGの積載量で3種類の船型があり、標準となる15万5000立方メートル型で価格は200億円前後になる見通し。今後7~8年で4000億円規模の受注を目指す。

LNG船のエンジンは従来、輸送時に気化してしまう天然ガスを燃料とするガスタービン方式が一般的だったが、ディーゼルエンジンに比べて燃費性能に劣る。そこで三井造船はディーゼルエンジンを改良し、重油、天然ガスの両方を燃料として使えるようにした。

プロペラに直接エネルギーを伝えられる仕組みも導入。韓国勢が多く採用する、モーターを使った電気推進型に比べ2割ほど燃費性能を高めた。

未使用の天然ガスを再び冷やし、液化し直す設備も取り付ける。例えば低速航行時は燃料をあまり使わず、気化した天然ガスが余ってしまうこともある。

従来は処分していたが、未使用の天然ガスを再び液化し直せば、輸送中のLNGのロスを最小限に抑えられる。円高の影響や価格競争力に勝る中国勢の急成長など、日本の造船各社をとりまく競争環境は厳し
く、2010年の受注量は04年に比べ6割以上減った。

高付加価値のLNG船は世界的にはほぼ韓国勢が独占している。LNG船16隻の建造実績がある三井造船も04年以来受注がとだえている。エコシップの投入で7年ぶりの受注を目指す。

米中、需要拡大けん引…日経新聞7月9日9面より

2011年07月09日 15時10分26秒 | 日記
太陽電池導入量 15年、世界で4割増

太陽電池は今後、世界的に大幅な伸びが見込まれる有望市場だ。欧州太陽光発電産業協会(EPIA)によると、2015年は世界の太陽電池の新規導入量が2393万キロワットと、10年から約4割増える見通し。

電池や素材など各国のメーカー各社は需要拡大に対応し、生産増強に動いている。
11年の世界の導入量は欧州の不振が響き前年より2割減る見通し。ドイツなどが、太陽光で発電した電気の買い取り価格を引き下げるといった政府支援の縮小に踏み切り、普及スピードが減速するためだ。

欧州に代わり世界市場のけん引役になるとみられるのが米国と中国。米国ではオバマ政権が環境ビジネスの育成を目指し、助成金や税控除制度を導入。中国も太陽光発電の導入量を15年までに現在の10倍の1000万キロワットに増やす計画だ。

いずれも広い国土を生かした大規模な太陽光発電所の建設が増えている。
米中を中心とした太陽光発電の普及を見込み、太陽電池メーカーは生産体制を増強する。

サンテックパワーは、米アリゾナ州の工場で増産に乗り出す。米ファーストソーラーも約3億ドル(約240億円)を投じて同州に新工場を建設する。

三菱ケミカル 太陽電池中核素材に参入…日経新聞7月9日9面より

2011年07月09日 14時55分03秒 | 日記
中国で高機能品量産 封止フィルム、耐水性10倍

三菱ケミカルホールディングス(HD)は太陽電池の寿命を左右する中核素材の封止フィルム事業に参入する。耐水性を従来品の10倍に高めた製品を2011年秋に発売。

12年末をめどに大口需要家が立地する中国に大規模工場を新設する。15年までの投資総額は約100億円。原油高などを背景に太陽光発電の需要が高まるなか、高機能素材で成長市場の世界シェア3割獲得を目指す。

封止フィルムは太陽電池のガラスと発電層の間などに挟み込んで密着させる素材。水分や熱に弱い発電層を保護し、寿命を長くする役割を果たす。長寿命化は太陽光発電普及の1つのカギで、電池メーカーの間では封止フィルムの高機能化への要請が高まっていた。

市場に参入するのは三菱ケミカルHD傘下の三菱樹脂。このほど浅井工場(滋賀県長浜市)に年産3000トンの小型の量産設備を導入した。他の拠点も含めて年内に5000~6000トンに増強しつつ、日中などアジアや欧米の太陽電池メーカーに販売を始める。

最初の量産工場を中国に設けるのは、太陽電池メーカーの世界最大手、サンテックパワーなど大口需要家が集積しているためだ。工場は上海市か江蘇省に建設する予定。今年末に着工し、年産2万トンの設備を12年末をめどに稼働させ、15年までに6万トンに引き上げる。

三菱樹脂の封止フィルムは汎用樹脂の一つである「ポリオレフィン一系の特殊な樹脂を利用。現時点で主力の(EVA(チレン・ビニル・アセテート)」と呼ぶ樹脂を使った封止フィルムに比べ、雨や湿気など水分の遮断性が約10倍高い。

EVAフィルムは接着性に優れるが、酸を含むため電池の配線部分などがさびやすい難点かおる。三菱樹脂はHD傘下の三菱化学が持つ高耐水性の樹脂や自社のフィルム成膜技術を活用。新製品をEVAフィルムと同水準の価格で販売する。

世界の太陽電池市場は2ケタ成長が続き、日本の化学メーカーなどが強みを持つ素材の需要も拡大している。

富士キメラ総研(東京・中央)によると、封止フィルムの15年の世界生産量は10年の約2・6倍の19万8000トン、販売金額は同2・3倍の3000億円強に増える見通しだ。

封止フィルムはUVA製品を展開するブリヂストンと三井化学が世界2強。三菱樹脂は新型フィルムで対抗する。

三菱化学が手掛ける薄膜の太陽電池にも活用し、HD内でのシナジー効果を鳥める。三菱樹脂は太陽電池関連事業の15年度の売上高を10年度の約10倍の500億円に引き上げたい考えだ。

菅直人とは違う、否、同じ嘘つきか

2011年07月09日 14時02分20秒 | 日記
鉄道省報道官、日本に反論…朝日新聞7月9日7面より

「中国の高速鉄道の多くの技術はすでに、(日本の)新幹線をはるかに上回った」ー。
中国鉄道省の王勇平報道官が新華社通信のインタビューに答え、中国の高速鉄道技術の優位性を強調した。

「日本の新幹線のコピー」とする一部の意見には、「でたらめだ」と不快感も示した。

中国が日本から買った技術をもとに開発しだ最新車両「CRH380A」、について、国際的に特許取得の手続きを始めたことへの日本からの反発に反論した。

王報道官は最高時速200~250キロの技術を独自に380キロに引き上げたことに加え、出力増強や先頭車両の空気抵抗の低下などを説明し、「カギとなる技術の知的財産権は完全に我が国の手にある」と自信を示した。

(北京=吉岡桂子)

原発再稼働巡り混乱 首相批判、与野党から…日経新聞7月9日2面より

2011年07月09日 13時46分05秒 | 日記

九州電力玄海原子力発電所の再稼働を巡る菅直人首相の対応を批判する声が8日、、与野党から相次いだ。

民主党の渡部恒三最高顧問は国会内で記者団に「首相と担当閣僚の意見が食い違うなど許されない。大きな憤りを感じる」と首相を厳しく非難。

さらに「一日も早く後継者をつくることが私の責任だ」と、早期退陣の必要性を説いた。

首相を支える立場の岡田克也幹事長も前橋市で開いた電機連合大会で「もう少し閣内で意思疎通をよくし、混乱していると受け止められないようにしないといけない」と苦言を呈した。

藤井裕久首相補佐官はTBS番組の収録で「明らかに政府のなかにブレがある。政府の信頼を失ったことは事実だ」と語った。

野党の反応は割れた。公明党の井上義久幹事長は会見で「非常に深刻な事態だ。閣内の意見が一致していないことが問題だ。首相に重い責任がある」と強調。

…後略。

復興予算作り 鈍い出足…日経新聞7月9日2面

2011年07月09日 12時59分50秒 | 日記
管政権 迷走の余波

政府は8日、東日本大震災の復興に向け、復興構想会議の提言を踏まえた「基本方針」づくりに着手した。基本方針は秋の国会提出を目指す大型の今年度第3次補正予算案の骨格となるが、増税でまかなう財源探しは難航も予想される。

政局混乱の余波で、2012年度予算の概算要求は例年の8月末から9月にずれ込む見通し。退陣時期を明確にしない菅直人首相の姿勢が「復興予算づくり」の出足を鈍らせている。

「復興構想会議の提言を尊重し、復興基本方針に盛り込む政策を検討してほしい」。8日の閣僚懇談会。新任の平野達男復興担当相は、提言を具体化する基本方針の月内策定に向け、各閣僚に要請した。松本龍前復興相の辞任で提言からは既に約2週間がたっていた。

基本方針づくりの最大の難所は復興財源を確保するための増税だ。復興構想会議は所得税や法人税などの「基幹税」の増税を求めた。政府税制調査会だけでは荷が重いとみた首相は8日、関係閣僚会議を設置。

政府税調とともに増税の税目や幅、期間を検討する態勢を整えた。だが、負担増には与党内に異論が出る可能性も高い。

その先も道は険しい。政府は基本方針決定後の8月から3次補正編成を本格化し秋の臨時国会に提出する段取りを描く。しかし、仮に菅首相が「居座り」を続けていれば野党の反発で予算審議は停滞する。

関連法の成立も見通せない。次期首相を決める民主党代表選で増税が争点になった場合、3次補正の骨格が揺らぎかねない。「3次補正は政局次第で10月以降に提出がずれ込む」との見方は根強い。

3次補正に続く来年度予算編成はすでに遅れ気味だ。菅首相が70日間の延長国会で小規模の2次補正を割り込ませた結果、通常なら7月中になる概算要求基準の策定は8月に、8月末の概算要求締め切りは9月以降になる見込みだ。地方自治体の予算編成にも影響が出てくる。

民主党側も動きが鈍い。国土交通部門会議は6月下旬から会議を開いていない。仮に開いても来年度予算は議題にしない。「政局で忙しく、予算の話にならない」。ある民主党参院議員はため息交じりに語った。