すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

ねねはワンワン?

2005年02月09日 | 
子供って、言葉を覚えるとき、目の前にある「もの」を、いったいどうやって認識するんでしょう?
以前、うちの社長の奥さんが、こんなことを言っていました。
「この間、娘(当時1歳半くらい)と散歩してたら、ねねちゃんを見つけたの。うちの娘、ねねを見て、ワンワン、ワンワン、って言うの。ニャンニャンでしょ?って言っても、ワンワンだって聞かないの。ねねちゃん、おっきいからかな?」

考えてみれば不思議ですよね。社長の娘が、ねねを見て、「ワンワン」と言ったことが、よりも、ねねのことは犬と間違ってるのに、他の猫の事は、ちゃんと「ニャンニャン」とわかることが、です。
う~ん、不思議。ちっちゃい犬は「ニャンニャン」なのかなぁ。
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小説「幼稚な殺人」⑥

2005年02月09日 | 小説「幼稚な殺人」
僕は、唖然とした。取調べをしていた課長や本宮さんや宝田さんの疲れ切った姿を見て、調べあげられている若林先輩の方は、どれほど憔悴し切っているだろうと覚悟はしていた。そして、確かに先輩は、デスクに前屈みになって、僕が入って行っても、顔を上げる力すら残っていないようだった。
 しかし、それ以上にショックだったのは、先輩が無気力だったことだ。確かに、取調べが4、5日続くと、人間は、“もう、どうでもよくなる”時が来る。最初どんなに否認している人でも、そういう時が、やって来るのだ。…が、1日目の、それも2時間そこそこの取調べで、どうしてここまで投げやりになっているのか。それも、あれほどまでに木下に対して正義感を振りかざしていた先輩が…。

 僕は、単刀直入に、言った。
「先輩、…先輩は、木下を、殺してませんよね。」
「…あぁ。」
先輩は、顔を上げずに、うなづいた。
「わかりました!じゃあ僕は、先輩を、信じます!」
先輩は、初めて顔を上げ、僕の目をじっと見つめて、力無く笑った。
「おまえが、おれを信じたからって、どうなるっていうんだ。」
「僕が必ず、先輩のアリバイを証明してみせますよ!」
「…元気だなぁ、おまえは。でもな、無駄だよ。誰も、おれがそこに居た証明なんてできはしない。…おれは、妹が死んでから、今までそうやって、誰にも携わらずに生きてきたんだ。」
「そんな…、先輩らしくない…」
「おまえがおれの何を知ってるんだよ。」
僕は、一緒にコンビを組んで1年以上経つのに、先輩が、妹さんのことを一言も言ってくれなかったことを思い出した。
「先輩、2つだけ、言わせてください。…まず、1つ目です。」
僕は、先輩の目を見つめたまま、続けた。
「先輩は、あの日、自分の家には居ませんでしたよね?」
「なっ、…おまえ、何を…」
「先輩、僕は、先輩の意見を聞くつもりはありません。ただ、事実を言っているだけです。…そして、2つ目は、」
一瞬、動揺して、先輩が目を逸らしたがっているのを、僕は許さなかった。
「先輩、僕は、先輩のことを、本当の家族だと思ってます。…僕の、亡くなった両親も、きっと。」
言い終わる前に、僕は立ち上がり、ドアの前に立った。
「おれは…」
「言ったでしょ。先輩がどう思っているかを聞いてるんじゃないって。先輩が、どう思おうが、僕は、先輩を信じてるし、僕にとって先輩は、何ものにも替えられない存在なんです!」
先輩は、初めて、いつもの優しい笑顔を見せた。
「そういうセリフはなぁ、惚れた女に言うもんだ、バカ。」
僕は、涙が出るくらい嬉しくて、泣き出す前に、急いで部屋を出た。

 次の日の午前中、僕は、園田さんと2人で、車で若林先輩の部屋に向かった。
「そりゃあ、宝田の言う通りだ。おまえの読み通り、若林があの時間、家に居なかったのが本当なら、木下を殺した可能性がますます高くなるな。」
「違うんですよ、園田さん。だから、家でも、現場でもない、別の場所に居たんですって。…何か、理由があって言えないんですよ。」
「なんで、言えないんだ?え?」
「それは…、わかりませんけど…。」
「女、じゃないのか?」
「女?」
「なんだ、おまえ。1年もコンビ組んでて、そういう話、聞いたこと無いのか?」
運転中に、頭をペシッと叩かれて、僕は、少しムッとした。 


(つづく)
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