すずりんの日記

動物好き&読書好き集まれ~!

小説「アジア人の怒り」②

2005年02月26日 | 小説「アジア人の怒り」
 「昔、まだ鎖国が解禁になったばかりの頃、黒船が相次いで接岸する中で、嵐に飲まれてこの村までたどり着いた外人の一行がいた。その一行は、この村に着き、村人に多くの食料を恵んでもらい、やがて、家を建ててここに住み着くことに決めた。そしてだんだん村に馴染んでいくにつれて、我こそこの村の長とばかりに我が物顔で歩くようになった。その一行の仕業ときたら、盗む、脅す、たかる、若い娘をはらませる、・・・ひどいものだった。人間のすることじゃあない。“鬼”だった。村人たちはこの一行を恨んだ。決して悪い村人たちではないのだが、さすがにこの時だけは、一行が死んでくれるのを願ったという。『誰か、鬼どもを殺してくれる奴はおらんか』と。
 しばらく後で、邪宗の神父様がどこからかやって来て、村人の悩みを聞いてくれた。伴天連に何ができる、となじった奴もいたが、皆、わらをも掴む思いだった。『私に任せなさい』と言って神父様は、一人、一行の住む家に行き、そこに泊まった。一行は、彼が自分たちと同じ毛色をしていたので安心したらしく、快く仲間に入れたようだった。
 その後、基督様の御力か、その一行の中から死人が出始めた。1人死に、2人死に、やがて5、6人が動かなくなってしまった頃、神父様は、村人に何も告げず、一行と死体を連れて山に登って行ってしまった。その後、彼らがどこに行ったか、知る者はいないが、あの、山の頂上近くにある洞穴で、皆、死んでしまった、という噂が残っている。
―――10年ほど前、その噂を確かめようと、若い者が10人ほど連れ立って意気込んで山を登って行ったが、山を下りた者は1人もいない。2、3人の男衆が年1回、野犬狩りで山に入るが、彼らは決して洞穴の中には入らずに帰って来る。洞穴に入らなければ必ず助かるんだ。幸い、今日はあんたたちが行った後、夕方から野犬狩りをするらしい。・・・まぁ、何かあっても、その連中がちゃんと助けてくれるよ。」
―――と、まぁ、こんな感じだ、とジムは言葉を切った。


(つづく)
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すずとりんのお母さん

2005年02月26日 | 
これが、すずとりんのお母さんの、くろちゃんです。
今日は、いつもご飯をくれる人が風邪ひいてお休みだったので、珍しく私のとこにご飯をもらいに来ました。すずとりんの代のお父さんと兄弟はみんな真っ黒ですが、男の子のすずは、お父さん似で、女の子のりんはお母さん似なんですよ
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